文春文庫
「超現実的なホラー小説は苦手だわ。」という人が多い。読者が「現実感がなく、単に自分とは関係のない世界のお話だけに見え、空想小説なら何でも言えるじゃないか。」と考えるからなのだろうか。宮部の作品はおなじ分野の作品でありながら、語り口とプロットが優秀で、いかにも「貴方の隣にありそうな話」と思わせるところが魅力のように思われる。
読み終えて謎ばかりが残り、捕らえようがなく、あらすじが書きにくいが、私の脳の整理を考えてあえて、こう言うことだろうと書き出してみる。
とり残されて
あの女を殺してやりたい!恋人は、一方通行を逆に入ってきた車に轢かれて死んだ。運転していたのは十八歳の女学生、彼女は大した罪に問われることもなかった。涙金ですべて終わりなど冗談ではない!
勤めている学校のプールで少年の呼ぶ声、出かけて行くと女の死体。不発弾が爆発して教頭が死んだ。刑事の相川は九歳の子供の時、女性教師に折檻された。教頭と彼女をいつか殺したいと考えていた。相川は(あなたの憎しみが、塗りつぶされた壁の向こうで、待っていた九歳の相川を呼んだんですよ。)とい言いながら、死んでいった。
私も事故当時のの私に生き返ってもらい、暗い願望を叶えたい!出来るはずだ!
おたすけぶち
数年前兄一樹は、人も通わぬ小花井村近くのスピードを出しすぎて、近くのおたすけ淵に転落、死亡したと考えられた。しかし死体が見つからなかった。私は、村で兄が生きていることを知り、連れ戻そうと考え、でかけた。しかしあのおたすけ淵で投光器で突然照らされて、運転をあやまった!。
人口の少ない、放っておけば消滅してしまうような村、しかし土地への愛着はある。そのために人が必要だ。だから観光客を物色しては、事故を演出して取り込んでしまう!。だれを「おたすけ」するのか。気がつくと、遠くから声が聞こえてきた。「一樹は大切な人材だ。連れ出されちゃ困る。」
私の死んだ後に
右腕が動かなくなって、二軍に落とされたセネタースの元エース佐久間はファンに刺されて、生と死の境にたつ。十一歳の時、公園でロケット花火が暴発して、二十歳の女の子を殺してしまった。そしてエースになったその時、花火の爆発事故で思い出がよみがえり、右腕が動かなくなってしまったのだ。佐久間が、女の子の霊に「子供のあなたが、そんな不運を一人で背負い込んで背負い込んで苦しんでいるのを見て、私は貴方がかわいそうでたまらなかった。」「野球さえやめなければあなたは大丈夫だと信じていた。」と励まされ、生の世界に戻ったとき不思議に右腕が動くようになっていた。
居合わせた男
特急あずさのグリーン車で若い女性二人組の話。「井坂という若い社員をいじめて自殺においやった嘱託の相馬が、私たちと一緒に働くことになった。さえない男で、車にはねられて死んだが、あれは井坂さんの霊にたたられたに違いない。」という。パーキンソン氏病に使われるドーパという薬があるが、幻覚作用をい起こす危険があるという、その影響だろうか。私は、興味を持って彼女たちの会社を訪れる。私を見た彼女たちは「幽霊が・・・。」と叫び、気絶する。彼女たちは私の側に相馬氏の霊をみたようだ。
囁く
OL二人の話「銀行で横領をした男の人の話で「お札が囁くんですよ。あたしたちを使いなさいよ。楽しいわよ・・・いくら一生懸命働いたって、今ここにあるあたし達の数の半分ももらえないのでしょう・・・・。」ですって。面白いでしょう。」その話を聞いた今出川氏は「楽になった。」と席を立ち、表の通りを元気良く歩き出し、バッグから猟銃を取り出した。そして近くのOLの勤める銀行から突然鋭い銃声が一発。
いつも二人で
相原真琴に五年前同じ部屋に住んでおり、恋に破れた幽霊の姫野君枝が「身体を貸して・・・。」ととりついた。彼女の命令のまま彼は次第に女性に変身し、ある会社の採用試験を受ける。松木という常務がおかしな行為に及ぼうとしたとき、幽霊はするりと身体から抜け出て松木の身体に入り込んだ。「この男が私の彼だったの。これからは二人で一人だわ。」
たった一人
永井梨恵子は河野探偵事務所に「時々意識が混濁して夢を見るが、いつも町中の交差点にいる。夢を分析して欲しい。」と頼む。河野は彼女にその夢の絵を描かせる内に、二十年前の事故を思い出す。四人が死に、その時やってきた警官が河野だった。彼女はどこかでその事件を聞き、時空を越えて脳の中に焼き付け、恋心を持ったにちがいない。やがて河野は消えてしまう。「運命を変えてはいけないなんて、戯言だ。それじゃいきる価値もない。」と梨恵子は、いつか一度手放してしまった彼の次元へ戻ろうと日々を泳いで行く。
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