倒錯のロンド  折原 一


講談社文庫

これもまた叙述トリック。読者をだますというのは本当に面白い。作者の乱歩賞応募の経験がベースになっているため、作品に迫力がある。

 山本安雄は、ぼろアパートで月刊推理新人賞をめざして頑張っている。何しろ賞金一千万。どうにか締め切り近くに完成して、親友の城戸に見せたところ「ワープロできれいに打った方がいい。おれがやってやる。」そこで原稿を預けたところ、城戸は電車の中に原稿を忘れ紛失してしまった。
 その原稿を拾った永島一郎は、いったんは原稿を返そうとしたが、誘惑に負けてそれを自分の名前で投稿。しかし盗作と分かれば大変と作者の山本安雄を殺そうとするが、誤って城戸を殺してしまう。
 山本が、雑誌をひっくり返すと入選は白鳥翔の「幻の女」おれの作品と同じだ。出版社に抗議に行くが相手にもされず、彼は白鳥翔に電話でいやみ。白鳥はノイローゼ気味。恋人の広美もおかしな噂に惑わされ、でて行こうとする。ついに山本に身を任したと広美を殺してしまい、逮捕される。
 山本は、白鳥のアパートで悩んだ末、盗作顛末記を小説にするが、永島に襲われ病院行きに。しかしそれが露見して白鳥が釈放される。すると、机の上にはあの山本の「盗作の進行」良くできていると題名を「倒錯のロンド」に変更。しかし山本の母親に襲われ、作品はまた山本に戻る。
彼はこれを応募して佳作に入選するが・・・・・。
 実は山本は精神がおかしく、昨年の入選作白鳥翔の「幻の女」を読むうち、それを写しだし、なんとなく自分で書いた気になった。それを城戸がワープロに打つともらい受け、紛失。拾った永島が名前を変えて応募した、山本はあいかわらず昨年の入選作を見ておれと同じだとぼやいているという珍妙な筋立て。時間と誰がどうなっているのかわかりにくいところが作品のミソで面白いところ。

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