とってもカルデイア      岡嶋 二人


講談社文庫

織田貞夫・土佐美郷コンビの活躍する青春ミステリー。美郷が可愛く描かれている。しかしトリックは一流で凝っている。
織田の下宿先に、信州の田舎から友人秋本が尋ねてきた。美郷と三人で画廊喫茶に行くが、秋本は美郷の新品のカメラで写真を撮ったあと、カメラ・カルデイアと共に姿を消してしまった。赤坂の糠平邸でのパーテイである教授が刺殺死体を見つけたが、警官が到着したときには消えていた。カルデイアは見つかったが、本牧公園の池の中、しかも秋本の死体と一緒だった。秋本刺殺事件、糠平邸事件、そして三人で入った画廊喫茶で撮った写真・・・これらはどう結びつくのだろうか。
しかしで二人が、きあがった写真を見て糸口が出た。カルデイアに入っていた写真は、別のカメラで撮られた物!つまり秋本を本牧公園で死んだように見せ掛けたかった。糠平邸のパーテイ写真に写っていた男、東海林孝史の死体が山の中で発見された。しかし秋本と東海林の共通点は長野県の須久根という小村の出身だという事。
二人が、その須久根の調査に行き、秋本が生前速水弁護士事務所を訪れていたことが分かったことから事件が見えてくる。膨大な財産を持つ高森家当主が死んだが、相続権のある娘の良子、妾の子の室屋良夫が行方不明。そこで速水弁護士事務所が、捜索を依頼され、それを実行したのが東海林だった。そして速水の事務所の新聞から昔谷田部君子なる女性が人をさした事件が切り取られていた。さらに事件を追ううち、室屋と仲原寛子と名を変えた高森良子が発見された。
実は、速水が相続人がいないことを良い事に、谷田部君子を高森良子にしたて財産を乗っ取ろうとした。ところが、仲原寛子が室屋と結婚を希望し、須久根の役場に手紙。戸籍係の秋本が調べたところ、谷田部が高森になりすまし、画廊喫茶店主に収まっているらしいことを発見、強請を始めたが、事件の発覚を怖れた谷田部に、あのパーテイの日、殺されてしまった。速水は、秋本が須久根の事務所に尋ねた事を隠す必要があると考え、カメラにトリックフィルムを入れ、死体を池に浮かべた。その後、事件の鍵を握る東海林を殺した、と言うものだった。そして速水、谷田部とコンビの最後の対決・・・・。
・プレワインデイング方式(132p)
・相続人がどこにいるか分からないときは、家庭裁判所で相続財産の管理人を選定する。(177p)
・心嚢内血液タンポナーデ、いわゆる心タンポナーデという奴だ。心臓を覆っている膜に血が溜まって、心臓の動きを止めてしまうと言う症状らしいよ。刃物で心臓を刺された場合、けっこうあるらしい。(190p)