講談社文庫
短編集だが、綿密な取材調査を行った後が感じられ、いづれもすばらしい出来。書き方が一人称主語が多いのも特色。
盗聴
盗聴器発見という職業の紹介がまず面白い。永田町近くで怪しい信号をキャッチ、作並等が追って行くとあるホテルに、ところがプロテクトがかかっていて会話が聞けない。やっと相棒が解読に成功すると、殺人現場の声。池渕なる右翼の男がある部屋で刺殺されていた。どういうことか、と考えていると、自分の電話に盗聴器が仕掛けられていることに気づき、相棒を疑い始める。そして深夜会社に潜り込むが、相棒に続いて社長等が現れ、捕らえられてしまう。実は社長と秘書は過激派で、公安のスパイを捜していた、相棒がスパイと言う図式。最後はもちろん危機一髪で警察が駆けつけ・・・。
再会
昔のクラブに仲間が集まる日、妻のカンコは睡眠薬を飲んだ。クラブにはカンコと佳美の二人がいて、男たちは争ったものだが、私はカンコを射止めた。駆けつけた友人たちはカンコが如何に私を愛していたかを告げた。妻は嫉妬深かったから、私の他の女性とのあらぬ中を疑い、自殺したのか。悪いことをした。そのうちに佳美が叔父が事故で死に、父親が仕事を継ぐため、転校していったことを思い出した。もしかしたらカンコは叔父を殺して、佳美を転校させ、私を獲得しようとしたのだろうか。遺書が気になる・・・・誰よりもあなたのことを愛してた、それだけはお願い忘れないで
漏水
水道局の男から「道路が陥没した。そこで調べたところ、お前さんがいまの奥さんの恋人を殺して埋めたことを発見した。」と強請られた。仕方なく妻と強請男を殺して自宅の床下に埋めて、新しい家に引っ越した。ところが、それをまた見つけたと水道局の男、おまわりが来たためそいつは逃げだし、車にはねられたようだった。仕方なく、あの死体を掘り出しに行く。しかしそれこそ強請男の部下どもがしくんだ罠だった。
タンデム
おれは健嗣兄さんの誘いで暴走族魔矩辺巣をぬけ、プロのライダーになった。そしていつの間にか健嗣兄さんの女だった祥子とねんごろになった。その健嗣兄さんと祥子のバイクが何者かによって張られたロープに引っかかり、兄さんは死亡した。ところが運転したバイクは借り物で座の位置が低いはず、伏せていれば引っかからなかったはずだ。祥子が裏切って彼を振り向かせたからか、それとも自殺か。
私に向かない職業
暴力団東建興業は、貸付資産を確保するために高隈総合開発の社長を押さえた。福江田組は彼を取り返そうと、高隈が死んだ場合財産を相続する弟を拉致した。私は高隈の命を狙っていた女をつかまえ、福江田組に乗り込む。弟を解放させ、しかも彼らを警察に逮捕させ高隈を喜ばせる。そして二人になったとき不意に高隈を襲った。私は高隈総合開発に資産を取られ、家族をめちゃくちゃにされた女からの依頼を受けていたのだ。