爆殺予告     草野唯雄

角川文庫

 2代目社長の一人息子の幼稚園児が誘拐され、犯人側から身代金1億円を、世田谷区浄真寺のお面かぶりの混乱に乗じて渡すよう要求があった。応じない場合には子供を爆殺するという。
 しかし、犯人は身代金を受け取り、逃走する途中交通事故で死亡してしまった。臨終間際に残したダイイングメッセージ「うぐいすだに」を頼みに、時限爆弾をセットされた子供の監禁場所を求めて、捜査陣と家族の必死の捜査が進む。「うぐいすだに」が上野近くのそれでも、身延山のそれでもなく、渋谷区のそれで分かった時、捜査は山を迎えた。そして誘拐犯を操っていた男が、妻の財産と浮気に悩む2代目社長自身であったことが明らかになり、子供の命は危機一髪・・・。
 「足で書い推理小説」という感じ。とにかく泥臭く良く調べてある。万年筆の製造法、ニトロ系爆薬の製造方法、身延山などの縁起、NTTの統制無線中継所、上野、渋谷、身延山周辺の細かい地理・・・・・。そしてそれらをベースに息もつかせぬ感じの時間限定大追跡劇を描きだしている。

・トリックでは身代金受け取り方法が面白い。車で金を運ぶ直前、現場ではバッグの中の金を自動車の中に放置し、扉の一つをあけたままにし、からのバッグをさも中が一杯であるかのように見せて指定場所に運べというもの。
・昨年中に約10件の小児誘拐があったが、そのほとんどは、あんまりかわいかったので一緒に遊んでやろうと思ったとか、自分で育てるつもりだったとか言う単純誘拐にすぎない。(50P)
・ニトログリセリン爆弾の作り方(90p)
・二段作動の電気置き時計式タイムスイッチ(91p)

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