弁護側の証人         小泉 喜美子

集英社文庫

ヌードダンサーだった漣子は、八島財閥の御曹司八島杉彦と結婚するが、舅は認めてくれない。
漣子が家にきたため、今後どうするかで姉夫婦、弁護士、医師等が舅と相続問題を協議する。
妊娠を告げられて、ふせっていた漣子は、夜半舅の部屋の電気がついているので出かけてみると、舅が鈍器で頭を割られて死んでいた。
夫を守らなければいけない、と考えた彼女はアリバイ工作をする。
しかしそれがばれ、彼女は犯人に仕立てられ、死刑を宣告される。
上告審では、ダンサー時代の友人ユミの紹介で、清家弁護士が弁護に当たり、彼は証人として、なんと事件を担当し、彼女を逮捕した緒方警部補をたてる。
彼は、その後、舅の遺書が見つかり、被告はその時点では舅に殺意を抱いていなかったこと、八島家の人々が口裏を合わせて漣子を犯人に仕立てようとしたこと、血の付いたシャツが古井戸から見つかったこと等を証言する。
犯人は杉彦で、離縁されると聞き、かっとなって父を殺した後、罪を妻になすりつけようとしたものだった。

読者をトリックにかける作品である。冒頭、漣子が、死刑宣告を受けた杉彦と鉄格子越しに接吻し、別れを惜しむシーンがあるため、読者は漣子が杉彦のえん罪をはらすために活躍するのではないか、とミスリードされるところがミソである。