ベルリンの夜に逃れて
ベルリンの夜に逃れて 高柳 芳夫
講談社NOVELS
平野和夫は、ベルリンの壁に接する家を借りてすむ声楽留学生だが、ある夜デイーナなる美女をハントする事に成功する。
彼女の屋敷に入り浸りになるが、ある時、自宅に戻ったところ、地下から現れた男たちにおそわれ、拉致される。
実はその家の地下に、東ベルリンに抜ける抜け穴があった。
心臓外科の世界的権威高牟礼博士は、西ベルリンで拉致され、この秘密の抜け穴を通って、東ベルリンに連行される。
書記長カチャーリンが、重い心臓病、カチャーリンは
「今、米国と軍縮構想が進んでいる。しかし国内には鷹派がいる。私はともかくも生き続け、世界平和に貢献したい。」
しかし手術中に彼が発見したカチャーリン署名の秘密書類には、ベルリン占拠、ユーゴスラビア攻略作戦が載っていた。
彼は、それを記憶した後処分するが、秘密書類隠匿容疑で逮捕される。
明日香一生二等書記官は、ラーベンシュタイン城に閉じこめられ、KGBの拷問を受ける高牟礼を救出する事を命じられる。
城にはCIAが放ったスパイ、メイヤー軍曹、密かに現体制転覆をねらう平野を誘ったデイーナ等がいるが、彼らと連絡を取りながら決行、城を脱出し、銃撃戦の末、例の秘密の抜け穴経由で、西ベルリンに戻る。高牟礼の報告で米国はソ連に強硬手段を取り始める。
高牟礼を捕らえて拷問にかけたのは、KGB議長マルコフと副議長のポドロガ。
彼らは鷹派で、カチャーリンの書類は彼らが作った偽物だった。
偽物をつかませ、苦労して脱出させ、「カチャーリンは実はタカ派」とのイメージを西側に植え付ける事に成功した。
ソビエト内部では、今や彼ら自身が権力を握ろうとしていた・・・・。
比較的手軽なスパイ小説。
この書が書かれたのが83年、数年後にベルリンの壁が崩壊する。
また作者の好みの古城、いし弓などが小道具として使われているところも面白い。