光文社文庫
風にヒラヒラ物語り
妻の園子が自殺した戸田悠一郎は、あの事件について書かれた遺書がなかったことでほっとする。しかし牛乳屋が「奥さんから旦那さんに渡してくれと頼まれた手紙を失ってしまった。」と近ずき、ゆっくり強請始めた。そう、二人は幼児をひき殺してほうかむりをしていたのだが妻は良心の重みに耐えられなくなり自殺した。
盲目物語
女あんまは客に求められるままに、数ヶ月前に起こった女性の殺人事件を話し始めた。彼女は部屋の冷蔵庫から湯上がりにコーラを飲んだが青酸カリが入っていた。誰が青酸入りのコーラとすり替えたか。不思議に男は報道されなかったはずの事件の起こった部屋の名前などを知っていた。その上、あの晩すれ違った不振な客と同じ葉巻のにおいをさせていた。
死の接点
新聞記者の宇津はコンパクトを持ち、白粉を塗りたくった女の子を見つけたが、その子は蜜柑を食べているうちに死んでしまった。青酸中毒死だった。コンパクトの持ち主の水木ひろ子が、アパートで遺書らしきものを書いて死んでいるのが発見された。これを殺人と確信した宇津は、恋人の村木がひろ子を殺そうとして、信州への旅に誘い、毒入りの蜜柑を与えたが、それが入ったハンドバッグを盗まれた事から悲劇が始まったと見破った。
小さな鬼たち
信州の小学校、お人好しの依田先生は「私たちの声」に寄せられる生徒の訴えを熱心に読んでいたが、妻の不倫を告げる一通が・・・・。注意して見ていると医者の高村先生が我が家に通っている。待ち伏せ、先生が妻をベッドに寝かせたところに、血相変えて飛び込むが・・・・。妻はおめでたでした。投書は同僚の先生のいたずらでした。
傷だらけの街
電車の中で財布をぬきとった藤川若枝は、男に逆に捕らえられ、サンタクロースのサンドイッチマン役を二時間ほどやらされる。しかし翌日、サンドイッチマンの妻が殺され、若枝のイニシアル入りのハンカチを握っていた。はめられたのだ。若枝は妻殺しの罪を他人に転嫁しようと、同僚の男を自殺に見せかけ殺す。しかし当のサンドイッチマンが妻殺しを認める遺書を残して自殺・・・・。
媚薬の旅
次期市長を争う瀬上と立花が大場議員の見舞いにやってきた。帰り道、素人女と遊べると瀬上は、
立花のくれた媚薬と称するカプセルを片手に、勧められるままに名もない有田屋なる旅館に泊まる。
そして青酸中毒死。カプセルの中に青酸カリが仕込まれていたのだった。