角川文庫
ワインで有名なレストラン『つぐみ亭』を経営し、膨大な資産を有する綾有里子は暴力
的で野卑な弟大久保彦一、君枝夫婦を連れてドイツにワインの買い付けに来ていたが、
ワインの権威早川教授一行と出会う一方、10年以上前にわかれた夫の池田新太郎が執
拗につけていることに気がつく。そしてホテルボワイエでの弟夫婦、早川教授、一行の
中の松原理代の殺害。調査の結果、以前、早川教授と松原理代は愛人関係にあったが、
その子孝三郎は君枝にだまされ、自殺した。そしてこの殺人劇は早川教授と松原が共同
して弟夫婦を殺害し、自殺したものとして処理された。そして有里子と池田新太郎はよ
りを戻す。
しかし1年後、実はこの事件で一番得をしたのは池田新太郎でアリバイも怪しいことか
ら、
実は彼が真犯人ではないかと疑われ始める。最後は池田と追及した人々の対決、池田、
有里子、その若き恋人大川の悲劇的な死と続く。
作者のワインに関するうんちくは相当なもので、ドイツの紀行とあわせて楽しい。ただ トリックを解くという点では今一歩の感じがする。それと安易すぎる殺人、外国の警察 の事件への対応もどうもよく分からない。後書きにあった作者が作品を書くときに徹底 した創作ノ−トを作っているという点には感心した。