徳間文庫
1901年、ペテルブルルグにおける広瀬小佐の行動を追う。
広瀬は3年後の日露戦争で、旅順港封鎖のおり、おくれた杉野上等兵曹を探しているうち、敵弾に倒れたことで勇名である。
広瀬はロシアの海軍が強力になり、やがて極東に配置されることを恐れていたから、その新造戦艦の図面を欲しがっていた。
広瀬のもとに、ドイツで革命運動に没頭しているうち、恋人イリーナを殺された傷心の国際浪人北沢が配属される。北沢はロシアの革命組織に渡りをつけ、図面を受けとる事になるが、受け渡しのおり、相手側のセルゲイが密室で殺される。
これは実はセルゲイがイリーナを殺した犯人で、ロシアにきてイリーナの姉、ソーニャと恋におちた北沢が共同で行った犯罪。帰国真近の広瀬がついに説き明かす。
このストーリーに広瀬自身の貴族の娘、アリアズナとの恋がからみ、叙情あふれる1編となっている。
作品の性質上、必要なのだが時代考証が素晴らしい。
巻末によるとこのために作者は数10冊の文献を参照したという。