銀と青銅の差    樹下 太郎

別冊幻影城

楡製作所は電気関係の会社だが、課長以上の社員バッジの台が銀、それ以下は青銅で出来ており、誰しもが銀バッジをにあこがれを抱いていた。
尾田竜平は突如仕入れ課長代理に抜擢され、銀バッジを付ける身となった。
ところが11ヶ月後、突如営業部の事務職に、結婚する女性社員の後任というさえない仕事の上、平社員に格下げされてしまった。
彼のところに深井基代という女性がいたが、彼女は進士専務の女で、それを鼻にかけていた。
ある時新入りの女子社員と争ったとき、「尾田さんを左遷するよう専務に言ったのは私だ。」と口走り、それが尾田の耳に入る。
一方尾田と同期に入った大江明も、会社の仕事に嫌気がさし、コンクールで入選したことからデザインで身を立てようと考え始めた。
しかし、会社の仕事中心を勧める専務は、容易に認めようとしなかった。
専務は二人を課長にして、やる気を起こさせようとする。
深井基代と進士専務の関係が広まり、基代が妊娠したことから、基代をやめさせ、囲うことにした。
基代は、退社にあたり、尾高に謝ろう、と自宅に呼び、関係する。
そこに大江と「課長になるか、画業を続けるか。」で対立し、機嫌の悪い専務が、戻ってきた。
尾高は怒ってガス栓をあけたまま去ってしまう
基代の不貞を知った専務は、激昂して、絞め殺してしまう。
翌日、二人の心中死体が発見される。

銀と青銅のバッチという身分格差が生み出す様々な人間の心、行動の変化が非常にうまく語られている。
冒頭に心中死体発見をおく書き方もうまい。
一人一人の人間が悪人としてではなく、与えられた状況で最善をつくしながら、うまく行かないと言った状況が、それぞれの立場で書かれているところが共感を呼ぶ。
この書き方は作者の大きな特色になっているように思う。

キーワード・・・心中事件、サラリーマン小説