後鳥羽伝説殺人事件     内田康夫

角川文庫

正法寺美也子は、尾道の古書店で後鳥羽天皇隠岐配流に関する昔の自分の蔵書を見つけ購入する。
そして翌日東京に帰る予定だった彼女は、反対方向の三次駅の跨線橋の上で首を絞め殺される。
ついで彼女と同じ電車に乗り合わせた隣町の富永が、殺される。
県警は若手の桐山警視等が、特別捜査班を編成し、捜査に当たるが進展しない。
そんな中、失われた古本に疑問を呈したベテランの野上刑事は、上司から嫌われ、捜査の第一線からはずされる。そして美也子と富永が訪ねた本の提供者のおとなしい高校の歴史教師が、殺される。
野上は捜査を進めるうち、8年前に美也子が、友人の浅見と当地を旅行したおり、民宿で土砂崩れが起こり、生き埋めになり、浅見が死亡、美也子が記憶喪失になった事件に注目する。
そして浅見の兄と共同で捜査をするうち、二人が実は当時同宿の学生3人組に睡眠薬を飲まされ、暴行されていた、事故が起こった時、浅見が逃げ出せなかったのは睡眠薬のせいで動けなかったかららしいという事実をつかむ。
蔵書はそのとき奪われたものである。
美也子はその蔵書を奪った3人組の一人の教師に会いに行って殺された、次にその事実を知って強請ろうとして富永が殺された、と推定した二人は、3人組の残り二人を追う。そして二人目の木島が殺され、主犯はどこに・・・・。
後鳥羽伝説に関し、興味深く書かれていて面白く、旅情を誘う作品である。
最後に犯人が、実は捜査を指揮している当の桐山警視であったと、いうところは「大時計」を思い出させた。

・後鳥羽天皇・・・・広辞苑                  
第八二代の天皇。名は尊成(タカヒラ)。隠岐院・顕徳院とも称す。高倉天皇の第四皇子。1198年(建久9)譲位して院政。1221年(承久3)北条義時追討の院宣を下したが、失敗して隠岐に配流(承久の乱)、その地に崩御。歌道に秀で、新古今和歌集を勅撰、配流の後も業を続けて隠岐本新古今集が成った。(在位 1183 1198)(1180 1239)  資料:『増鏡』
記憶喪失症
記憶されていながら思い出せない・・・・記憶喪失
  記憶されない・・・・・痴呆
記憶とは記銘、保持、再生の3つの作用からなりたっており・・・。
記憶障害・・・外的物理的な力が働いている場合と、内面的な要因で自己発生的なものがあり、後者では自分が無意識のうちに忘れようと勤めている場合がある。(100p)
・連続状態にある事象の動きを慢性的に体験しつつある人は、もしその動きの一部が欠落しても無意識裡に自らその空白部分を補填し、あたかも体験が継続していたかのように思いこむ(270p)
・セロテープの内側の指紋は消えない(284p)