犯罪集中治療室
犯罪集中治療室 由良 三郎
立風書房ハードカバー
推理小説で、探偵役をどのように設定するかは難しい問題である。この高山瑠美子シリーズでは、新米看護婦と探偵会社に勤める兄となっている。話しの進め方はあとがきにあるように、探偵役の特別な知識や技術がないと謎が解けない、ようにしてあるところが特色。
亡者のご挨拶
長唄を教えていた師匠の葬式の日、故人のテープが公開されたが、なんと1と月ほど前に教室の階段から落ちた山田夫人は、夫に突き落とされたものだ、という告白。修理した三味線と階段の傷から、実は師匠自身が夫人を突き落とし、夫に罪を着せようとしたのだと判明。
・卵巣癌には女性ホルモンがめちゃめちゃに出るようになるケースがある。(63p)
南京虫の刺し傷
何の理由もなく、敗血症で死んだ患者。胸には二つの差し傷、南京虫らしい。しかし普通の注射針では心臓までとどかないはずだが、細くて長い動物用のものを使って、汚水を打ち込めば、患者を敗血症にかからせることができるとわかった。
・他人の家に盗聴器をつけて情報を収集しても、違法行為のため、裁判所は証拠として認めない。(96p)
・病院の格付けは死亡患者の死体解剖が何例行われるかで決まる。(98p)
民間式人工授精
見知らぬ男に、長い間努力したが子供ができないからあなたの精子をくれないか、お礼はする、と持ちかけられた学生が、精子を提供。ところが子供ができると相手は、養育費を払えなどと強請に変身。精子は冷凍して渡したというのだが・・・・。実は精子保存はグリセリン溶液に入れ冷凍しなければ死滅してしまう点がミソ。
・澄山探偵社の様子(103p)
・無精子症(118p)
勘違い
アパートの密室で、女性が青酸中毒死していた。そばには青酸カリの混入したジュースのビン、ワープロの遺書、しかしどういう訳か血中の青酸濃度に比べて、胃の中の濃度が低い。
自慰用具に青酸カリを塗りつけておいたもので、青酸カリが青酸となるには酸性状態の部位が必要だが、胃の他に膣があると言うところがミソ。
・びっくりしてすぐに119番にかけると同時に、支店長に電話したら、彼氏も驚いて飛んできた。救急は間に合わないことは一目瞭然だったし、救急隊員もそういったから、今度は110番にかけた。警察はもっと簡単だった。死斑を見てすぐに「ああ、青酸自殺だ。12時間以上経っている。そのコップの水がそうだろう。」(141p)
・話しがはじまると働き出す盗聴器(145p)
・青酸ソーダという薬はね、長いこと空気にさらしておくと、だんだん毒性がなくなって、重曹になってしまうのよ。(148p)
不思議な失踪
病院長宅に「患者の高山を殺さなければ病院を爆破する。」の手紙。院長の相談で患者の高山は密かに病院を抜け出す。実は高山が、妻のもとから逃げ出したかったからで、彼は失踪した他人になりすましていた。
・眼底写真は指紋以上に個人差があり、本人であるか否かの重要な決め手となる。(203p)
脳ミソころころ
車のひき逃げで足を骨折した男が、病院にかつぎ込まれたが、その夜急死。脳挫傷かなにかだろうと解剖すると、脳味噌がころりと落ちた。実は形状記憶合金で延髄をさして殺した後、さらに金属をつっこみ、温度変化で金属が元の形に戻る力を利用して、脳と脊髄を切断したものだった。