緋の風     祐未 みらの

文芸春秋ハードカバー

主人公は中国人と日本人のハーフ、シンガポールで何でも屋をやっているという想定。 じゅんちゃんという恋人がいる。
そこにニューヨーク時代の親友で、今はフィリピンのメラード財閥の当主と結婚したマ リアが訪ねてくる。ところが招待されて彼女を訪問すると浴室に手首から血を流して死 んでいるマリアの夫ルイスメナードの死体。自殺か、他殺か。そして彼女に一族のリカ ルド、ロペスからの口止め。
そして10日位してメナード財閥が経済的苦境から参加のホテルの一部の経営権をカナ ダの会社に売却することにしたとの報道。そしてマリアは当然の財産請求をすることな く、メナード家を去るから、詮索はやめて欲しいとの依頼。事件はうやむやで終ろうと した。
しかし、盗み見たマリアの日記とペナン島でうけた一陣の風が、真実を私に知らせた。 マリアは、アメリカ時代の恋人でキューバ革命に情熱を燃やすパコが、忘れられなかっ た。ルイスに追われ、いまはいかがわしいホテルの支配人になりさがったフレデイ・ウー を、仲間に引き入た。マリアの巧妙な誘導で屋敷内に潜入したウーは、風呂場で睡眠薬 を飲まされたルーの頸動脈を切り、自殺に見せかけ、殺したものだった。
国際社会に生きる現代の女性らしい書き方が魅力である。

・私は豪華な生活の素晴らしさを否定はしない。でも、物によってでしか幸福を得られ ない種類の人間にはなりたくない。(28p)
・殺したいという強い感情が人の心に芽生えるとき、理由は二つだと思うの。利害の衝 突か、恨み憎しみか。(123p)
・コレクトコールの利点は・・・・記録が残らないことだ。(193p)
・それに、殺され方がすごいじゃない。無線操作の爆発物なんて。(254p)
・忍び込む、と言う音の響きから真っ黒な衣装に身を隠した盗賊を連想したけれど、そ れが見当違いだとしたら次に考えられるのは、何かの中に身を隠して正々堂々と正面か らはいる方法だった。(272p)
・アンデイが聞いたのはルイスの声ではなく、スペイン語を話すことの出来ない犯人が ルイスを装ってしゃべった声だったからよ。(275p)