中公文庫
方壺園
高さ10数メートルの壁に囲まれた方壺園、この中で高佐庭という詩人が殺された。犯人はどうやって方壺園の中に入って出ることが出来たかが中心。外から紐の先に石をつけたものを内側の排水溝に落とし、それを外からひっかけてたぐり寄せ木に結わえ付け、その紐を使って中に入ったと言うもの。脱出は発見されたときに外から入ったように見せかけた。ほかに毒の入った丸薬を患者に選ばせる、盗作した漢詩で女の関心を買う、人間提灯などの話があり、短編小説にしてはトリック一杯という面白さである。
大南営
Aしか殺人の動機が無いのだが、そのAは犯行直前まで自分と語らっていた。兵舎で犯罪がおこなわれたため、同じ様な建物がいくつもあった。犯人は自分を犯行現場近くの兵舎に導き、道の覚えの悪い自分をずっと離れた彼の兵舎に行ったと思わせた。
九雷渓
捕らえられた老革命家とお着きの女中は護送している男が老革命家の父を殺した事を知っていた。老革命家は途中で病に倒れるが、その部屋の裏の川に護送している男が石で頭を割られて死んでいるのが見つかった。漬け物の縄の先に壁に使われている石をつけ、格子の間から投げ落として、男の頭を襲い、川の中に落としたものだった。
梨の花
浅野教授は深夜、まばゆいばかりの光をあび、肩をはじめ何カ所も刺される。病院で考えた
結果、食堂の親父、中田が娘の結婚で誤解をして自分を襲ったと考える。襲われた武器は竹の先の刃物と火薬をつけたもので、これを槍のように窓から差し込んだものだろうと考えた。これは梨花槍と呼ばれ、倭寇の進入に対して中国で考えだされた武器であった。
アルバムより
革命家にしてはあまりにも線の細い鄭清群。昔、父を殺した男を、鄭清群についていた女中が、深夜忍び入り殺してしまった。女中は主家によかれとやったことだったが、それ以来鄭清群はおかしくなっていた。
獣心図
ムガール帝国のころ、反乱を企てた王子は捕らえられていたが、気がつくと殺されていた。