双葉文庫
1章の谷間の人達では、水道公団汚職に、警視庁の捜査が伸びてきたため、職員の戸田は恋人とアリバイ工作をしたうえ、上司を殺そうとするが、殺されてしまう。
2章の暗い青春では、二人の若者が恋人の手引きで映画館強盗を行うが、些細なことで喧嘩をし、それが踏切上でのバス事故を誘発してしまう。そして若者の一人樋口が、殺される。
3章の歪んだ情事では、セメントメーカーに勤めるOLの国安が、部長の娘に関心を持ち始めた恋人を、こちらに向けるため、私立探偵を使って部長の私行を調査するが、殺される。
4章のとうろうの斧では、川島病院副委員長の鳴瀬が、次期委員長をねらって反対派の小川の子供の急患の処置を断る。そのために子供が死んでしまう。そして鳴瀬の死。
実は戸田に日頃から苛められていた出入り業者の野村の子供が、2章の事件にあい、川島病院に運び込まれたが、死んだ事件の復讐を狙ったものだった。
ばらばらにみえる話を4つのべ、最後に結び付けるというやり方。
アイラ・レヴィンの『死の接吻』やコーネル・ウールリッチの『黒衣の花嫁』を思わせる。
日常当たり前と思ってしていることが、実はとんでもない人にとんでもない迷惑を及ぼしていることがある、というのが主題なのだろうか。