女医彩子の初心な主治医    志賀 貢

光文社文庫

*乳房の推理
若い女医を主人公にしたコメデイ風推理小説。
女医彩子の乳房を鷲ずかみにした69歳の狭心症患者、待田時二郎には隠された秘密が あった。15年前彼の妻逸子と番頭吉之助は心中をするが、実は時二郎と連絡を取りな がら、逸子が隠れて生きているのだ。
しかし時効が後4か月に迫った事もあって、病院に担当の刑事が訪れるようになった。 加えて時二郎の病状は悪化する。時二郎は湖の見える和室に移されるが、「鰻が食べた い。」という希望はもう適えられない。彩子は吉之助の死体の上がった浜名湖と逸子の 墓と称するもののある寸又峡を訪れてほぼ真相を掴む。しかしある朝、病院で見つかっ たものは時二郎と寸又峡で旅館の女中に成り済ましていた逸子の心中死体だった。
作者が本当の医者であるせいか、その面での解説が興味深い。ただ人物の書き込み、話 の進め方は今一歩のように思った。