渇きの街    北方 謙三

集英社文庫

横浜港級クラブ「オリエンタル」のボーイ川本高志25歳は、男の誇りをバネに無法の 道を歩く。仲間の手をつぶした岡田を待ち伏せて襲い、植物人間にする。酔客の扱いの 問題で、「オリエンタル」に辞表をたたきつけ、取り立て屋室田の手先になる。暴力団 まがいの荒技で債権を回収し、収入を増やし、女を二人囲う。
しかし、室田はある病院の後処理を巡って大貫代議士およびその秘書の隅田と争うこと になる。血で血を争う抗争、そしてついに室田が惨殺死体となって発見される。自分の 身にも危険の迫った高志はついに復讐を決意、大貫代議士を殺すことに・・・。しかし 愛する女に密告され、高樹刑事等の手におちる。

短い渇いたセンテンスで事実をぼつっぼつっと伝える。そしてそれが暴力的雰囲気を作 り出し、主人公の心情を描く。まさにアウトローの原点である。ただそのような書き方 であるが故に人間の悩み、葛藤といった内面の世界はわかりにい様に思えた。

・道って奴は、踏み外すためにある。踏み外したところにも、また道はある。(56p)