角川書店ハードカバー
ヘリコプターから投下された小さな物体に、米国バックバーグ大統領が襲われた。
その 物質はヒルジンという血液抗凝固剤ヒルジンで、大統領は膵臓癌であったため、中和剤
の効果も薄く、生命が危ぶまれる状態になる。
しかも大統領はABRhマイナスという非 常に珍しい血液型、あらかじめ準備したスペンダー等の血液が輸血される。
しかしそれ でも血は止まらずグアムからハワイから次々該当する血液が送られ、治療が続けられる。
ところが最初に輸血された血液にキメラ型血液の混入が認められる。
非常に希なこの血 液は検査では通常の血液と同じに結果になるが、実際に混入されると凝固し、輸血され
たものを死に至らしめる。
犯人は出血多量で大統領を殺害し、ダメならキメラ型血液を輸血して殺そうとしていた
のだ。
結局双子の兄を使って、この血液を輸血させたチャモロ族系のスペンダーが犯人と分か
る。
黒人公民権運動団体の意を受けたものだった。
作者は敏腕外科医、医学知識を駆使しての手術シーンは迫力満点だ。設定も非常に面白
い。
ただ作者がそれにおぼれている感は捨てきれない。
主人公の岸田が英雄過ぎる、描 かれない登場人物の人物像、大統領との気楽すぎる会見、令嬢ニコラの脱走事件や料理
のレシペの記述等本筋とは関係ない話しの記述等々気になるところが多い。
それに暗殺をするならヒルジンのようなまだるっこいものでなく、青酸のような強い毒
性を持つものを落とせばいいじゃないか等筋書きに疑問も残る。
なにか作者の自慢話を 聞いているような所もあり、面白い話しなのに白けるところがある。