角川文庫
詩人でアメリカ人居候のキリオン・スレイが探偵役の短編集。推理そのものを楽しむ雰囲気の小説集である。
なぜ自殺に見せかけられた犯罪を他殺にしたのか
あらかじめ、弾痕を用意したスナックで、壁に装飾としてかかっている銃を、カウンターに座った演劇好きの女にくわえさせ、空砲を発射して殺すもの。凶器がなく、消えた男がいたから、犯人がまさかバーテンとは思わない。
なぜ悪魔のいない日本で黒弥撤を行うのか
次々と女を怪しげな黒ミサの儀式に呼び、うわさを広め、目的の女を殺そうとする。
なぜ完璧のアリバイを容疑者は否定したのか
否定したアリバイが証明される、と最初からよんでいる。人は「むき出しのまま呈出された、いわば裸のアリバイには、人は疑いの目を向けかねない。けれど、衣裳を着せて、呈出して、その衣裳をぬいでみせると、だれももう一枚皮膚まで脱げるとは思わない。
なぜ殺人現場が死体もろとも消失したのか
困る相手を自宅に連れてきたが、泥棒が殺してしまう。遺族としてどう対応したらよいか。
なぜ密室から凶器だけが消えたのか
隣の娘が死体を見つけたが凶器がない。風船で飛ばした、凶器は氷などの説が否定される。実は男が女を殴り飛ばし、失神させたが隣の娘が駆けつけてきたので、押入の中に隠れた。隣の娘は失神した娘に強請られていたので刺し殺して、凶器は自室に持ち帰った。
なぜ幽霊は朝飯を食ったのか
蔵の中に親の申し出る結婚をいやがっておかしくなった娘が死んでいた。蔵の娘は検死のの結果、前夜12時頃死んだと考えられた。外で食べ終わった朝飯の膳を放り出して女中が倒れていた。実は蔵の娘は階段から落ちて死んだ。女中が見つけて、恋人に嫌疑がかかるのを恐れ、死体を土蔵に隠した。朝飯は自分で食べた。
土蔵の口から、凧を利用して、恋文のやりとりをしたり、金を盗む手口は顎十郎捕り物帳にあったのを覚えている。