光文社文庫
淫らな骨
N県T署刑事伝田弘平のの日記というスタイル。夜勤のある日ノゾキの事務員がつかまり主任の宇津木が取り調べたが、その後彼は「いいお嫁さんをもらえよ。」と言った。主任の息子章平君は光陽高校校長草香啓次の仲人で奈津子と結婚した。しばらくして草香が失踪し、死体が主任の家の庭で見つかった。草香は章平の留守に奈津子と関係していたが、それをノゾキ男に見られた。宇津木が男を調べて真相を知り草香を殺したのだった。
加えて、消した
秋津の妻美佐江は妹の佳代にあてた簡単な遺書を残して自殺した。しかし佳代は美佐江が仁一という従兄弟とと結婚前から恋仲だったことを知っていた。佳代は実は遺書がずっと長いもので、秋津が最後の1ページだけを残し、仁一の字にを書き加えて佳代と変えていたことを見破り、秋津を追求する。
情事の背景
夫の言によれば「株価が下落して」林健児の妻多恵子は自殺した。ところが少し前多恵子は新聞に「Kという男と関係し、断ろうと思ったが逆に強請られている。」との身の上相談があった。投書のあった新聞社の曽根が極秘に調査をすすめると夫が妻に多額の保険金を掛けていることが分かった。夫が新聞社に出頭し、妻の投書の内容を知ろうとした。「自殺ではなく、事故死かも知れないから・・・。」しかし曽根は見破った「保険金目当ての殺人だ。ただうまく行き過ぎてこのままでは自殺になってしまう。事故死にしたくて以前Kという架空の人物を作り出すために、おもしろ半分で投書した手紙をもう一度明るみにだそうとしたのだ。」
淫らな証人
松宮警部補は少女暴行殺人事件という大事件に張り切っていた。状況証拠を持ち、評判も悪い浅見が別件逮捕されたが浅見は取調中に飛び降り自殺をしてしまった。そしてその責任をとったか、警部補も自殺・・・・。松宮の妻伊佐子と葉村の情事。葉村は言う。「浅見は、犯行時刻に「我々の情事をのぞいていた」と主張した。怒った松宮が浅見を空手でくたばらした上、窓から死体を投げ捨てた。松宮に攻められたあなたは砒素入りコーラで自殺に見せかけて殺した。」葉村は伊佐子を殺すべくコーラと砒素を取りに階下へ・・・。
正当防衛
盗みの目的で侵入した男が、その家のいすずという名の主婦に発見され、凶器を突きつけて脅そうとしたところ、あべこべに殺された。(156p)しかし女が予定したように一人になっていたこと、強すぎる傷口、男の最後の女の名を呼んだと思われる不思議な発言など不審な点が浮かび上がった。正当防衛か、過剰防衛か。実は女は石地なる男と情事の最中だった。
孤独な殺人者
平社員の石堂は、突然2階級特進で部長を命ぜられ、天にも登る心地。上役の近藤次長は、退職させられた。夜の街に繰り出し、篠彩子と深い関係になるが、彼女は同じ会社のOL。ある日、石堂を拾った柴田重役からの手紙で「篠は私の隠し娘で非常に危険。近藤はあれにひっかかって会社の金を使い込んだ。私は人事権を持つ。私は篠を誘う男をもっとも憎む。」進退きわまった石堂は、朝のJRの雑踏に紛れて篠を刺殺する。しかし幸運が彼に味方した。
ゆがんだ絵
高校生が女学生を妊娠させ、堕胎剤だと偽って、実験室から持ち出した青酸カリいり溶液を飲ませて殺した。自殺に見せかけるため「生きて行くものの悩み」なる本を持たせそこから遺書らしきものを取り出して見せた。しかし死の直前、スカートに寝押しをしていたこと、愛用の万年筆が洋服ダンスに入っていたこと、遺書は直前に書かれたものでないこと、ひとつしか売れていなかった液体ビタミンの瓶等が自殺を疑わせる黒点となって彼を追いつめて行く。
肌の告白
中条宗子にあきた杉岡達吉は、彼女が「一緒に死のう」と言った機会をとらえ、殺そうと考えた。
信州の山の中に連れ出し、砒素入りジュースを飲ませ、太宰治の「人間失格」を持たせて自殺に見せかけようとした。
しかし、本のページの袋とじが切れていなかったこと、彼自身の体にできたかぶれが死体の上に置いた漆の性であると見破られる。