皇帝のいない八月    小林久三

講談社ハードカバー

青森県でトラックの正面衝突事故があり、陸上自衛隊の野上少佐が死んだ。
「特急さく ら」の寝台車に乗ろうとした石森記者は切符をよこせと男達にからまれる。
そして分か れた婚約者杏子の影、彼女の父江森も軍人だった。
佐林首相ひきいる民政党内閣は腐敗し、次回選挙では左派が政権を握る可能性すらあっ た。自衛隊内部には若手将校の間に不満が鬱積していた。
彼らと5年前にクーデターを 起こして失敗した自営体内極右グループが結びつき、各地の自衛隊が一斉に蜂起し、首 都を奪うと言う計画が実施に移された。
博多を経て、東京に向かう特急さくらには藤崎 大佐を中心とする
反乱軍が乗り込んだ。杏子と石森は人質同様に捕らえられる。
しかし事件は野上の事故 死から当局に知れるところとなり、各地で反乱は抑えられ、首謀者大畑剛三は自殺した。 そして大畑を影でおやつっていた佐林首相は事件をもみ消そうとする。
反乱失敗を知った藤崎等は列車ジャックに早変わりし、ともかくも首都を目指し、首相 にすがろうとする。
しかし列車は東京駅には行かず大井操車場に導かれ、包囲され、藤 崎等は最後の時を迎える。
石森の上司で三流新聞社社長の有賀は真実を書こうとし、逮捕される。
事件はやみから やみへ葬られる。
・特急券や指定席券が二重売りされる事故の大半は、記事が伝えるように、取り消し操 作のミスによっておこるらしい。・・・・係員が操作を誤り、キャンセルされた特急寝 台券の番号を打ち違えたときに、二重売りが行われる。(21p)