熊野古道殺人事件    内田 康夫

中公文庫

観音浄土での往生を願い、死を覚悟で、熊野那智から西方に向かった人は、古来72人、それを現代に再現させる実験を行うという。
T大学松岡教授の誘いで探偵作家の内田康夫は、探偵の浅見を連れて出かける。
「行くな!」の手紙、雛を抱いた寂しげな女の出現など怪しげな雰囲気漂う中、山中での女の殺人事件。
女は実際に渡海を試みる助手の岳野の妻。
しかし断食潔斎中の岳野は驚かず、白木の密閉された船に乗り込む。そしてわずかばかり沖にでたところで、海に飛び込み変死。
事件は、松岡教授と同郷の嫌われた岳野助手の争いが原因。
松岡の先妻は、数年前に岳野から貰った薬草で死亡。岳野は、松岡の現在の妻と関係していたが、障害となる自分の妻を排除。松岡が実験に事寄せて、岳野を殺害・・・・。
自作解説にあるように比較的安直な作品。
閂をかけ御幣を飾った白木の箱の底を破って外にでる密室脱出のトリック、プルトップの下に毒を塗り、飲んだ後、海に捨てると毒物が洗われて証拠を残さない現象が面白い。

・宗教が持っている恫喝性と搾取性については、許せないと思っている。
・・・・水子の霊だとか、先祖の霊とか・・・近ごろには、地縛霊、背後霊、ペットの霊など、(23p)