黒の環状線    山村美紗

徳間文庫

 フレデリック・ブラウンの作品に「交換殺人」というのが有る。これはそれをさらに発展させて、3人が互いに他の殺したい人物を殺すという、循環殺人を書いたもの。

 アメリカ留学帰りの日野夏彦の恩師の藤堂教授が密室状態で殺され、日野に嫌疑がかかるがアリバイがある。夫の行動に不審を持つ千紗子は調査を開始。
 東京銀座で朝吹の恋人、クラブのマダム、真帆子が毒物で殺される。しかし朝吹を巡って恋敵の霧雨亜紀はスキーに行っていた。
 国会議員の黒川が轢殺されたが、彼の死によって繰り上げ当選になった大門には鉄壁のアリバイ。そして日野が殺される。

 大門、霧雨はアメリカで知り合ったが、彼らは日野の藤堂に対する恨みを聞き、強引に彼を循環殺人の仲間に入れる。そして日野が黒川を、大門が真帆子を、霧雨が藤堂を殺した。しかし、弱気になった日野を自分たちの身の安全を考えて霧雨が処分したと言うもの。

 人から訪問を受けたとき、普段は部屋の鍵をかける男も相手が若い女性だと、疑われる事をおそれて開けたままにしておく特性を利用したセミオート錠の密室トリックが面白い。殺人現場から遠くにいたと思わせるために同じ部屋を二つ用意するトリックも使われている。

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