光文社文庫
四年前、三浦一夫と桑田登は、5人の女子学生(中村亜木子、杉歌子、田中ユミ、森千草、小野田みどり)の出資を得て、恩師石田教授の嵯峨野の別荘を買い取り、民宿経営を始めた。男二人は3年後山荘に集まった女性の中から結婚相手を選ぶと約束した。そして3年後、件の5人が訪れ、利益配分と結婚問題を話し合うことになった。
しかし、三浦を留守番に大河内伝次郎の山荘に出かけるが、帰途みどりが行方不明となり、翌日小倉池で撲殺死体となって発見された。京都府警の狩矢警部が捜査を始めた。
化野念仏寺などを散策した翌日嵯峨荘2階の自室で、女性5人の中で一番人気があると思われた千草が、刃物で突き殺されて発見された。室はただ一つのドアには電子ロックとドアチェインがかかった完全なる密室だった。
そして三浦と亜木子の毒入りコーヒー事件。女中キクが犯人らしいということになったが、彼女は大覚寺で毒を飲まされた上、池に放り込まれていた。
三浦が千草から1000万円を借りていたこと、三浦の部屋と千草の部屋が隠し階段でつながっていることが発見され、今度は三浦が疑われる。しかしこれもドアチェインのかかった自室で、三浦が毒入りコーヒーを飲まされて病院に運ばれる。
千草殺しは、ドアチェイン固定部分のねじをゆるめておき、外からかけられるように細工したもの、後のものは隠し階段からの脱出と、密室のトリックが明かされる。最後に桑田が疑われるが、証拠がない。しかし死んだと思われた三浦が現れて、桑田はその証言により、逮捕される。
ドアチェイントリックや、裸で殺人を犯し、風呂に入って洗い流す(千草殺し)などのトリックが面白い。千草や三浦に遺書らしきものを書かせるテクニックもまずまずと思う。落柿舎、常寂光寺、化野念仏寺など嵯峨野の名所の解説もあり、京都らしい雰囲気を盛り上げている。
殺人の動機付けや人物の書き込みが不足しているような気もするけれども、軽いタッチで書かれたゲーム的推理小説と割り切れば面白い。なおドアチェイントリックは「華やかな密室」にもあるから参照するとよい。
・溺死の場合は、飲み込んだ水が、池の水か、水道の水かで、どこの水でおぼれ死んだかがわかりますが、毒死してからでは、体内に、水は入りませんから・・・(171p)
・つかない口紅(236p)
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