祥伝社 NON NOVEL
日立・三菱などが、IBMのOSソフトを盗み、自社のコンピュータに搭載したと訴えられた事件があったが、それをベースにしたらしい産業スパイ小説。
東洋製作所の町田は、恩人の里見部長から「当社の企業秘密が、ニューヨーク支社長鍛冶からダグラス社長経由で漏れているらしい。二人は、近々ドロシーキャッツなる女性の館で会見するが、会見場所に、密かに盗聴マイクを仕掛けて欲しい」と頼まれる。
夜間屋敷に忍び込み、セットを終え、木陰から様子をうかがっていると、鍛冶支社長が現れた。ところが突然、鍛冶が倒れた。ちょうどそのとき、里見部長、角倉副支社長、木原駐在員が現れ、助け起こすが、鍛冶はすでに絶命していた。
凶器は、中世ヨーロッパで使われていたいし弓。5日後、ドロシー・キャッツが同じ方法で殺された。現場から発見されたいし弓から、指紋が発見されたことから町田が逮捕される。町田はさんざん痛めつけられた後、証拠不十分で釈放されるが、会社からは解雇された。彼ははめられたのだ。
後半は、町田とニューヨークのサンダー警部が組んだ真犯人追跡劇。
そのころ里見が退職し、競争相手の会社に就職したこと、いし弓を固定した跡が見つかったことから、企業秘密を流したのは里見として追求するが、矛盾をつかれ、追求できない。
次に支社長に栄転した角倉が副社長の娘との婚約が整ったが、ドロシーと関係していたこと、購入たいし弓が2挺あり、購入者が角倉であることが発覚し、角倉が逮捕される。しかし木原は犯人は角倉ではないかも知れないと主張する。そして木原が死体となって発見される。
最後に罠を張ると、やはり里見がかかった。彼は、鍛冶と一緒に企業秘密を売ったが、発覚しそうになり、鍛冶を漏洩犯人として殺し、角倉とドロシーを殺人犯に仕立てようとした。しかし、木原に感づかれこちらも殺さざるを得なくなった・・・・。
主人公が、無実の罪で逮捕され、それから真犯人を巡って二転三転する筋書きは良くできていると思うが、この場合は、動機の説明が今一歩の様に思った。また競争場裡にあるサラリーマンの生き方がやや画一的に見えた。
・企業秘密の漏洩を直接取り締まる法律は、日本にはないからね。我が国では現行警報や民法の規定が適用されるだけなんだ。(136P)
・退職した者が、たとえライバル会社に就職しようと・・・・いっこうに差し支えない(137P)
・いし弓は矢をつがえてピストルのように標的をねらってうつことができ、その上音もでなければ、硝煙反応もない(241P)