乱れからくり        泡坂 妻夫

創元推理文庫

 おもちゃ会社の部長馬割朋浩は、米国に立つ日、隕石の落下で死んでしまう。全くの事故である。その葬儀も終わらぬ内に、馬割家の人々におこる不可解な死、まず朋浩の子透一、朋浩の義理の兄弟の宗児、香尾里、そして朋浩の義理の父、鉄馬。これを机一つの探偵会社を構える宇内舞子と新入社員勝敏男が、警視庁と共に追う。
 犯人は朋浩の妻真棹とも思われるが、実は最初に死んだ朋浩自身。仕掛けられたからくりが、本人が死んだ後も自動的に働くことをやめず、悲劇をもたらすというテーマ。
 幼い透一は、熊んべ人形の背中に電池の変わりにセットされていた薬びんの中の睡眠薬の嚥下、宗児は、逆立ち人形のねじをまこうとして、仕掛けられていた毒物入りのの注射針がささった、香尾里は、万華鏡の中に仕掛けられていた爆発物の爆発、そして鉄馬は、常備薬の中に入っていた毒入りゼラチンカプセルを飲むことによって死んだのだった。
 そして、これにからむ銭屋五兵衛の財宝がかくされているねじ屋敷の秘密。
 全章のタイトルがからくりの名前になっている、など非常にこった作品であると思う。銭屋五兵衛と茶運び人形を作ったからくり人形師大野弁吉に因む話、数々のからくりにからむ話しなども良く調べてあり、面白い。

銭屋五兵衛 1773-1852 江戸後期の豪商、加賀の人。代々両替商であったが海運業に着手し、加賀藩御用達として日本各地と交易、晩年に河北潟干拓に失敗、後獄死。(現代世界百科大辞典より)

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