密航定期便          中薗 英助

講談社大衆文学館

対馬沖海底で朝鮮文字で 「9月30日一斉に蜂起せよ。朝鮮統一大衆党委員会」のビラをもった女の水死体が発見された。
ところが捜索にゆくと死体は消えていた。
そして水死体を発見した朝鮮人海女が潜水中事故で死んだ。
労働スパイ代理業者最上相談所の西巻は日韓貿易商社大韓実業の社長犀徳天から、秘書安間カナ子の捜査を依頼された。
彼女は南北朝鮮統一論者の鄭寿甲が主宰するパン・コリアン・レヴー社に1500万円を持参したまま行方不明になった。
捜査を開始すると極左勢力沈烈の配下らしい李光万が愛人高野とともに同時に行方不明になっていることが分かる。
身元不明の女の死体が対馬の山の中で見つかったが、西巻は彼女が安間カナ子であることを見破った。
高野をおっていた西巻は李光万、高野(韓国人高恵淑)、金順七等の極左グループに捕まり下関沖に上陸する。
海中で消えた死体は実は高野が回収し、対馬山中に捨てたことが分かった。
朝鮮人海女は李光万と高野の関係に気づいたため、李が事故に見せかけて殺したものと分かった。
しかし李光万と煙草を買いにでかけた金順七が当局に捕まる。巡視船を捲いたことから信用され、大村収容所に会いにゆかされた西巻は、李光万が韓国公安のスパイであり、殺人犯であることを教えられる。
民衆裁判のおり、これを暴露するが時すでに遅く、極左グループは全員が捕まる。
西巻は最上の計らいで釈放されるが、彼は帰京途中最上が当局が極左グループ逮捕と高官に希少金属タングステンの販売権を大韓実業に譲ろうとし、そのために最上が動いていたことに気づく。
良心の呵責から最上を倒そうと試みた西巻だが、最上の毒杯の前に倒れる。

・所員に秘密を知らさぬ方法(51p)
・革命というのは生命保険の満期を待つようなもんだろう?掛け金はかけっぱなしだ。おれは、かけっぱなしは嫌だ。(251p)
・たとえどんなに日本語がうまくても、日本人なら誰でも知っているような物の時価を、その人間がちゃんと知っているかどうかと言うことで、密航者を即座に鑑別する。(262p)
・風邪引いてるとき、コンプレッサーほんの一寸止めれば、予備タンクに切り替える1分か2分の間に、鼻つまりになって死んでしまう。(283p)