新潮文庫
休日の銀座で蝶の大群。その飛び立った跡には若い男の死体。高島平の団地の一角に突然色とりどりの風船の群。その発生元には若い女の死体。そして翌週の日曜日の焼身自殺予告。神宮球場ど真ん中での女の焼身自殺。再度の予告、今度は新宿住宅展示場での日宝グループモデル住宅の火災と焼死体の発見。すべての死体の腕には聖書の言葉を刻んだ真鍮のブレスレット。そしてすべての死体は青酸カリをあおっていた。
彼らはなぜ自殺しようとするのか、何を訴えようとするのか分からず十津川をはじめとする捜査陣は困惑する。しかし、風船売買等で現れた謎の車を運転していた小林が発見され、彼らは教祖野見山のもとに集まる小さなキリスト教団体であることが判明。
野見山は日宝グループが関係した十文字川公害の関係者。神の王国を作るための金を日宝グループから強請取ろうと計画。ミニコミ紙で自殺志願の若者を集め彼らに死の尊さを説いていた。蝶や風船は日宝グループの弱みの象徴だった。
そしてグループが5億円を払い北海道に土地を買ったことが判明。ついに十津川が乗り込むが彼は毒を盛られて北海道に連れ去られてしまう。そして今度は南洋の花に覆われた男女の心中。強請のさきは別の企業になろうとしていた。しかし十津川は彼らの裁判により、処刑されようとする瞬間、援軍が駆けつけ、救出される。そして教祖は自分が犠牲になる勇気があるのか、とおいつめられ、ついに焼身自殺をして見せなければならなくなるが・・・。
教祖は身代わりを立て、後でキリストのように復活して見せようとはかるが、小林が謀反。本当に殺され、小林も真相が暴露されると毒を干す・・・。
・I・N・R・I ・・・・ヨハネ伝10章「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」の意(151p)
・マウンドへの行きだけの足跡・・・トンボを使って犯行後整備。(378p)
・モデル住宅スペース79密室事件
前日、ねじ回しで錠を取り外し、ロックされない状態にしておいて取り付けておく。
当日室内で犯行に及んだ後、チェーンをかけ、アルミサッシの窓から脱出。アルミサッシのドアはバネ式になっているから水平位置より少し下がった状態になると自動的に、ぱちんと、かかってしまう。そこで糸でその位置に固定し、火災で糸が焼き切れ、錠がしまるようにしたものである。(381p)
* 青酸カリ
* モデル住宅の火災と密室殺人
* トンボ
* 自殺志願者の利用]