中公文庫
六角香子は、源氏物語の研究で有名な藤原研究室の生徒で、今は卒業論文に忙しい。教授の元には小川、萩の両助教授がひかえ、式部の死亡年次について説を異にしていた。両者は多数の古文書を持つ名門十條家の令嬢良子、教授の令嬢美子との交際も噂されていた。
そんなおり、十條家の若い当主が交通事故を装って殺され、通夜の日に倉から出火、貴重な古文書が盗まれてしまう。事件に興味を持つうち、香子は、3年前に十條家を訪れた帰りに交通事故で亡くなった父の死にも疑問を持つようになる。ついで藤原教授の密室殺人事件、香子の恋人大宮の石山寺での死と続く。
犯人は小川で、萩と出世を巡って争っていた彼は、3年前、自分の主張を覆す資料を発見した六角を殺して、資料を奪った。そして今回、十條家の重要文化財に文化庁の調査が入り、古文書がいくつかなくなっていることが発覚した。十條、大宮は再調査をし、小川に疑いの目を向けだしたため、ついに二人を殺すことになった。さらに自分が教授に推薦してもらえないことを知って教授をも・・・・。
和歌の下の句をつなげると犯人の名前になるというダイイングメッセージが面白い。紫式部日記、および式部の生涯についての記述等も興味深い。ただ女性向け雑誌に書かれたせいか、恋の鞘当てが主体になり、謎解きという点ではちょっと物足りない。
r991201