講談社文庫
仁木雄太郎と妹悦子は、娘にピアノを教えることを条件に、箱崎病院に下宿することになった。
そこでの殺人事件を雄太郎が解明し、悦子がワトソン役を務める読者に語るスタイル。
とかく評判の悪い2号室の平坂氏とおばあちゃんが、行方不明になった。
二人が消えた経路を追って行くうち、防空壕を通って、箱崎病院から隣の寺に抜ける地下道を発見、そこでおばあちゃんは殺されていた。
めいのゆりえの寄せ木細工の箱に入れたダイヤの指輪がなくなり、おばあちゃんは、値打ちものの壺を持ちだしていた事が判明。
平坂氏からの無事を知らせる電話、深夜の自動車の音、家永看護婦の不振な動きと事件は展開して行く。
電話が、テープレコーダと判明し、身元不明人の死体を調べるが、平坂氏はいない。
最後に家永看護婦が防空壕の中で「猫が・・・・。」の叫び声を残して死ぬ。死因はコブラの毒・・・・。
ゆりえの預かったクラブ会費とダイヤの指輪を、家出した兄が持ちだした事から、事件は始まった。
ゆりえの嘆きを聞いたおばあちゃんは、壺を平坂氏に売って金を作ろうとし、防空壕で会う約束をした。
ところがお父さんは、平坂氏を殺そうと家永看護婦を巻き込み、準備していた。防空壕で平坂氏を殺したが、運悪くおばあちゃんが目撃し、殺すことに・・・・。
平坂氏の遺体を毛を剃り、歯を変形させ、太陽灯で日焼けを起こさせて、別人の様にした後、溺死させた。そのため身元が確認できなかった。
家永殺人は強請られたからだが、バネ鉄砲の原理による機械殺人。
睡眠薬をうった猫を重石に使い、猫が目を覚ます頃、看護婦が到着するように仕組んだ。
猫が動くと、重石がはずれ、バネの力でコブラの毒を塗ったナイフが飛び出すという物。
寄せ木細工の箱、偽電話、死体を処理により別人に見せかける、機械殺人、抜け穴など推理小説の基本となるようなトリックが、縦横にちりばめられ、本格派好みの推理小説になっている。
・ヒヨドリジョウゴ、シキミ等の毒(27p)
・亜砒酸(116p)