粘土の犬

粘土の犬           仁木 悦子

講談社文庫

短編集。探偵役は「猫は知っていた」と同じ仁木悦子と植物学者の兄雄太郎。

かあちゃんは犯人じゃない
主人公は、質屋をやっていた父ちゃんのもとに貰われてきた母ちゃんの連れ子。やかましくて、母ちゃんも嫌いな父ちゃんが自宅で殺され、母ちゃんが警察に疑われる。ぼくに「警察の者」と称する男が近づき、事情を知ろうとする。犯人たちの目標は、実はぼくがそっと持ち出した石鹸の中に隠してあったダイヤ。僕は事件の真相に気づくが、危機一髪・・・・。

灰色の手紙
洗濯屋の旦那は細君の要求で、宝石を買う金を用意したが、商売不振でそれどころじゃない。そこで使用人のおばさんを使って狂言強盗を思いつく。おばさんの甥の弥っちゃんに、おばさんを縛らせ、金を古い洗濯機の中に隠す。ところが弥っちゃんが、金を独り占めしようとおばさんを殺してしまった。

黄色い花
離れにいた伯父が、殺された。屋敷には二人の甥と一人の姪が住んでいたが、皆アリバイは完璧に見えた。しかし開花したのぼろぎくが、犯人の侵入経路を推定させ、花瓶に生けてあった葵の花の水あげの悪さが、犯人のアリバイをくずすこととなった。最期は警察と雄太郎が罠を張り、犯人がそれにひっかかるという解決策を取っている。

弾丸は飛び出した
歯医者の待合室でカウボーイ映画を見ていると、その発射にあわせて、外の男がピストルで撃たれた。状況から考えて、待合室の人間は撃てた訳がない。実は外の男の後ろから撃った弾が壁に当たって跳ね返り、男に当たった。

粘土の犬
会社の金をの使い込みが発覚しそうになった井ノ口は、愛人で未亡人安枝を殺害、しかし盲目の子利彦が起きてきた。そして数年後、利彦の作った粘土細工の犬が展覧会で賞を取るが、実は井ノ口の殺害を告発した作品だった。