能面殺人事件    高木 彬光

双葉文庫

探偵役がストーリーテラーであり、しかも犯人であるという筋書き。
血に呪われた千鶴井家。
背景に謎の死を遂げた放射線の世界的権威千鶴井壮一郎博士、正気のまま精神病院に送られた妻、発狂した娘そしてその後に乗り込んできた泰次郎一家がある。
やがて泰次郎が密室で外傷もなく死亡、次いで次男の洋二郎の死体発見、園枝未亡人の心臓麻痺による死亡と続く。この謎に柳光一と石狩検事が挑戦する。
殺人方法はいすれもエーテルで麻酔させた後、空気を注射するもの。これはまったく後が残らない。
死体現場にのこるジャスミンの香りは臭い消し。
密室は鬼女の能面の角を鍵を開けるために用いる、面の操作は回転窓から外に通じている糸だがその先に風船をつけ、密室が完成すると面が落下し、糸の方は風船と共に飛んでいってしまうというところがミソ。
またポーシャ、82の88という暗号。(財宝をラジウムに変え鉛の中に入れた事を示している。)も面白い。
「グリーン家殺人事件」を参照しておくと良い。
犯人は財産略取を狙う泰次郎の長男の鱗太郎、壮一郎博士に変わって復讐をしようとした柳光一、そして正義感から最後に鱗太郎を殺す石狩検事・・・・。
いかにも本格好みの推理小説である。また「アクロイド殺人事件」を想起させる。