講談社ノベルズ
P商事の課長島崎は、部下の西尾典子との歓喜の一夜を過ごしていた。定年を迎えた泉は、筆頭専務高田浩介に小使いのように仕えていた。その泉が隅田川で水死体となって浮かんだ。
島崎の課には専務の息子健一がいたが、彼はK工業、香港のその子会社を通じ、プラスチック板から電飾用の箱を作る事業に成功しかかっていた。しかし大麻取引の噂のあるバー「ムーンリバー」に健一は入りびたっていた。
何かあると島崎は、独自で調査を行う。そしてムーンリバーマダム杉本こずえの泉と同じ様な死に方・・・・。
実は親から何とか独立したい、認められたいと考えていた健一が、中心となって、電飾用の箱を利用して麻薬の密輸をしていた。そしてそれを種に父を強請ろうとした泉と真相に近づきすぎた杉本を、健一が、殺したものだった。真実は分かったものの、島崎はほろ苦さをかみしめる。
言って見ればエロ小説だが、筋立てがしっかりしており、しかもサラリーマンのむなしさのようなものが良く描かれている作品である。王子のマンションで殺しておいて死体をボートで運ぶトリックが面白い。
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