プラハからの道化たち      高柳 芳夫

講談社ハードカバー

東西物産西ベルリン支店駐在員名倉誠一はチェコ動乱のさなか女と西ドイツとの国境を 強行突破しようとして警備員から狙撃された。義弟の川村は国境のレーゲンスブルグの 病院に駆けつけるが、名倉は青酸カリで自殺したと教えられる。納得できない死だった。 名倉は何かを西側に持ち出そうとしていた。
そして支店長の大杉の行動追跡、名倉が持ち出そうとした物の追跡をするうちに二人が 東側からの逃亡幇助者らしいことを知る。
そしてプラハ出張。しかしそれは自由派諜報組織の重要人物を西側に逃亡させることだっ た・・・・、
抜粋を掲げるがこの作品は国際スパイ小説としての面白さと同時に、著者の以下の主張 を訴えたいがために書かれたように見える。
(主張)
・朝鮮戦争で米国人や韓国人が戦い、死んで行くのを横目で見ながら、特需だなどと笑っ て、軍需品や必需品を売りさばき、大儲けをした日本人。米国基地の撤廃を叫びながら 自国の防衛を真剣に考えない日本人。世界の各地で多数の人が飢え、死んで行くのに、 有りる自由と豊かさにおぼれて、毎日の安逸をむさぼり、他国の自由の戦いや苦しみに 無関心で、手を貸そうとしない日本人。そんな日本人に、本当の自由は分からないと・・ ・・(149p)
・大切なのは、外国の圧力に屈せず、祖国の独立と自由のための戦いに生命を捧げた男 や女がいたという事実を、我々の子孫が後世胸を張って、世界の人々に告げうるかどう か、と言うことなのだ(283p)
(トリック)
・青酸カリをオブラートに包み、女性の膣内に挿入して殺害(96p)
・しなやかな枝の入った花瓶による密室の構成。(196p)
・よく似た人物を替え玉に用意し、周到な連絡で落ち合い、トイレの中で服と付け髭を 変えて、互いに相手に化け・・・・(254p)
・注射器に、青酸カリを溶かした水を仕込み、就寝中のナグラの、わずか開いた歯の間 から流し込んだのだ。(256p)