乱の王女           生島 治郎

集英社文庫

 副題に「1932愛と哀しみの摩都・上海」とあるように昭和6年末から7年始めの第一次上海事変が背景になっている。
 日本育ちの若い中国人竜宗好は、自由な生活を求め上海に渡り、亡父の残した金をもとに私兵軍団白竜党を作り上げる。彼は白竜党を清朝復活を夢見る川島芳子との接触、蒋介石系の藍衣社の杜東月との接触、共産党との接触を経て、次第に抗日排日軍団へと変えて行く。
 そして日連宗宗徒襲撃事件を契機として起こった第一次上海事変。中国側の主力第十九路軍は、当初こそ力があったが、相次ぐ援軍に劣勢になり、白竜党にも最後の時がくる。
 エンデイングは目をやられ、明日は銃殺という身になった竜宗好が、川島芳子と一夜の契りをかわすというもの。

 混沌の時代に思い悩む若者たち、町の中心のほとんどが租界地である当時の上海の描写が、よく書かれており、興味あるハードアクションになっている。