角川書店ハードカバー
神奈川県西部にバビロニア、古代ローマ、18世紀ロンドンの町並みを再現した巨大テー
マパークが完成しようとしていた。オープンをひかえたある日、その内の一つで女性スタッフの惨殺死体が発見された。
建設を請け負っていた東亜建設の小田切が、事件の背景を調べ始める。テーマパークの主催企業青木商事と、その子会社ながら独立しようとするTHPエンタープライズの森社長が対立していた。そして数年前の第二テーマパークを巡って青木商事内部で森と秋本取締役の争いがあった。破れた秋本は自殺し、スポーツクラブを倒産に追い込まれた息子は姿を隠していた。しかもこの秘密が最近新聞社に持ち込まれている。誰が、なんの目的でもちこんだのだろうか。
そして森派の領袖酒井の転落死。森派を恨む秋本派の犯行と疑い始めた頃、今度は森が殺されてしまった。カードシステムと赤外線感知器で守られた犯行現場に犯人はどのように到達し、どのようにそこから脱出したのか。実は各館を結んでいる新都市交通システムの屋根を使う。
管理部長の高梁が足場とパラボラアンテナの位置関係を問題にするが、その事実は特別な場所からしか、発見できないはずという事実から、犯人が判明する。
最後に犯人が、ローマ時代の4輪馬車に乗って脱出をはかる場面は、最初から狙ったシー
ンと思われる。「北北西に進路を取れ。」のラストシーンは、若い二人が岩山に掘られ
た4人の大統領をつたって逃げるシーンだが、ヒッチコックは最初にこの場面を想定し
て映画を作ったという。その伝の様な気がした。
ただ警察官の小田切との対決姿勢は、必要以上にとげとげしくなっている気がした。そ
してそれが事件が解決した後、和解するのか不思議に思った。また登場人物の性格、殺人の動機等も今一歩はっきりしていない様に感じた。
r991003