小説離婚学入門 土屋 隆夫

光文社文庫


パロデイ的な短編集。面白い一冊である
離婚学入門
若いときに経済的援助を受けた上役の娘を嫁にもらった志賀康人は、由紀に夢中。しかし妻は、とうてい別れてくれそうにない。そこに離婚促進協会。頼むと協会は妻に男をあてがったらしく、妻の方から離婚を申し出てくれた。しかしひょっと気がつくと、協会には由紀からの依頼状。「絶対に分かれない!」と叫ぶ志賀に「志画さん、これは協会のもっとも好ましくない事態です。」と男の太い指が襟首のあたりへ。

経営学入門
良いトリックを考えながらいつも一歩のところで人に先を越される弓木三平は、トリックを売る会社を作るが、倒産の危機。そんなとき高名の島咲透存先生から依頼、「絶対秘密の条件で先例のないトリックを考えてくれ。謝礼は300万。」考えた末、いい加減な報告書で300万をトリックすることを計画。ところが先方は、こっちをトリックして殺し、ネタを取ろうと計画。

軽罪学入門
市役所の厚生課長の所に、浮浪者が、しつこく公衆トイレの設置をすすめに来る。よく見るとその地図にはx印のついたところが・・・・。「ここは絶対にいけません。死体が出てきます。」してみると、この野郎。おれの犯行現場を見ていたな。

再婚学入門
妻に不満でバー通いの山上氏。バーのマダムに熱を上げていたが、ある日酔った帰り道、謎の女に誘われて吉田御殿なる秘密の場所に。深海のような暗闇で仮面を付けた女と法悦卿。夢中になった頃、仮面の女とご対面。なんと自分の妻だった。

密室学入門
自ら出入り口が一つだけ、たった一つの純金の鍵であくドアが一つだけの密室に住む推理作家流砂。そこにマニアの青年が訪ねてきて密室議論。青年は、作家を毒殺し、鍵を流砂のポケットに残したまま外に出ることにより、完全な密室を作ろうとした。しかし流砂が鍵を飲み込んでしまって・・・・。折原一「七つの棺・・・デイクスンカーを読んだ男たち参照。」

粋理学入門
バーであった不幸な男の話。男は愛する妻の素行を疑い、「シラノを気取り、匿名の恋文を妻に送り続けました。そして暗い中でのスリルある密会。妻は知らぬ男の名を呼びました。強くしかったところ、それが元で妻が自殺しましてね。それからは私は妻盗人をやって世の女共に復讐しているのです。」でも、どうも怪しい。

報道学入門
地方通信部員の浅見が出会った男の告白に寄れば男は、三島由紀夫とそっくりさん。酔って川端の住むマンションに忍び込んだところ、川端と出くわしてしまった。これが元で川端は自殺した。一大スクープ。しかし本社は、取り上げなかった。彼等は、これが罠であることを知っていた。

媚薬学入門
地方選挙。金の力で、当選した背黒祐吉と落選した大滝修一。 傷心の大滝は、香港に旅に出るが、媚薬を買ってきたと背黒に報告。 背黒は泣いて、頼んで、譲り受け、愛している秘書に飲ませたところ死んでしまった。 あわてて大滝を呼んで「責任は君だ。」と追求するが、うやむや。 勧められるままに、背黒が手打ちのウイスキーを飲んだ所、死んでしまった。 翌日の新聞に背黒と秘書の心中を告げる報道が・・・・・。 媚薬と偽って毒薬を飲ませる手口は「媚薬の旅」と同じ。