角川文庫
萩原光恵は、二才の息子と日米経済摩擦が沸騰するロスアンゼルスで夫に捨てられる。異郷に身よりも生活のあてもなくなり、放火心中を計るが、生き残ってしまう。
日本なら情状酌量もつこう、というこの一件、辣腕家として知られる女性白人検事は、あきらかな子殺しであり、自殺は神への冒涜である、重罪だ、と冷たい。
カリフォルニア州の法曹資格を持つ桜田信吾が光恵の弁護に当たる。12人の陪審員の選任の仕方、苦労、ギャグ・オーダー、誘導尋問などの法廷テクニック、答弁取り引きなど米国法廷の独特の習慣等が裁判の進行と共に非常に分かりや空く説明されている。
実は借金取りをよそおったゴロツキ仲間が、光恵の夫の隠し預金に目をつけ、これを奪おうと夫を誘拐したが分からなかったため、妻を襲って犯し、その上子を殺して放火して逃げたものだった。
しかしこの小説は、謎解きよりも、この小説は日米文化の違いの元に行われる、カリフォルニアでの裁判の過程の面白さにある。
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