珊瑚樹の殺人         齋藤 栄

徳間文庫

姉小路祐は、辣腕の旅行代理店課長、あちらもお盛んで秘書の藤山夏代や小早川紀子と関係していた。
そして今出世のために、関係会社社長令嬢轟和江と見合い、そこに紀子から電話で
「箱根のホテルにいる。是非来て欲しい。」
彼女とは分かれるつもりだったが、駆けつけると妊娠を告げられ、いい加減に結婚の約束らしき物をする。
その紀子を慰めるための旅行先で、紀子がおそわれ重傷。
しかし彼女はなぜか自殺未遂を主張。その直後、和江の惨殺死体が発見される。
第一の犯行は、再度紀子がおそわれ、犯人を捕らえて見ると姉小路で解決。
後の事件は、和江にアリバイがあったから、夏代が疑われるのだが、彼女はアリバイに当日乗っていた列車からのビデオを提供。
ビデオは実は友人のポルノ映画監督に助けてもらい、列車の模型を使って撮影した物なのだが、羽化したてのアメリカシロヒトリが映っている事などにより、トリックがばれてしまう。
これに、姉小路が友人の桑原を陥れるために技監を誘拐する話が絡む。
連載小説の成果全体としてはちょっと冗長な感じがし、犯人も予想通りで気落ちするが、証拠にビデオを持ち出した点、アメリカシロヒトリの特性を勘案したアリバイ崩し、ソナグラム利用の読唇術などが面白い。

・ソナグラム(266p)
・アメリカシロヒトリ
(1)樹木を食い荒らすくせに森林には入らない。発生は大都市周辺。
(2)定住地は限定されていて関東のみ。
(3)羽化は午後4時から午後8時頃まで(275ー277p)

(珊瑚樹)http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/sangoju.html