講談社文庫
ある製薬会社が、過去幻視効果の高まる新薬を開発した。折口信夫に関心を寄せている大学院生が、実験台になって、この薬を飲み、明治24年、23歳の折口信夫になる。
折口信夫は「友人で母方が猿丸氏の出である柿本」が所持している猿丸額なるものの写しを解明し、猿丸がそもそも何者であるか知ろうとする。
その結果、猿丸は実は柿本人麻呂であり、その祖先が宇治近くの山里に住み、何時の日か人麻呂を陥れた藤原一族に復讐しようとしていること、さらに莫大な資金を隠し持っていることを知り、柿本と出掛ける。ところが彼を待ち受けていたものは、暗闇の中で行われる祭りを利用した二つの殺人事件。
殺人のトリックは、自分の体の重みを滑車の一方として使うことにより、あらかじめ殺した男の死体を空中高く吊すもの。全編を覆う、歴史考察と暗号解きが面白い。梅原猛の「水底の歌・・・柿本人麻呂論」がベースとなっているとのこと。カルダングリルに近い方法でかかれた魔法陣を解く下りが優れている。
* カルダングリル
* 滑車のトリック
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