死はひそやかに歩く  生島治郎

ケイブンシャ文庫

神戸港で、港に来る船に物資の調達をしている、独身で松葉杖の男、久須美を中心にした短編集。
小説のブルースと言った趣で全編に何となく男と海のロマンがただよう。

1章
男は戦後まもなく、食うに困っていた時代に妻に先立たれ、生まれたばかりの娘を妻の知り合いの男に米一俵と交換でくれてやる。
しかし昨日寝た娘はその子らしい。
久須美が娘を捜し出し、理由を聞くと今まで父と思っていた男は、実は本当の父ではなく、その上結婚を申し込まれ、いたたまれず家をでてきたという。
しかし血液型の証明が・・・。

2章 
来月の給料も払えんと困っている久須美のもとに現金決済のひどくうまい話しが・・・。
ただ中国人を一人、従業員として、わずかの間上陸させることが条件。
しかしそれはダイヤモンド密輸のためだった。

3章
 酒に身を持ち崩し、酔っぱらうともめ事を起こすチコ。
彼の女、キヨミはチコに時計の密貿易の手先をさせようとしていた。
世話役のオコーナーはチコを心配し、キヨミを探し出したが、彼女の死んだ父はフィリピンで我が子を殺した軍人。
キヨミを殺してしまう。

4章
波止場でヤクを飲み、ラリッていた15才。
母親は数年前にわずかな罪で追い込まれ自殺した夫の敵をとろうと娼婦を装い、関係者と接触していた。
それが少年にはたまらなかった。母親が殺され、やっと少年は目覚める。