白く長い廊下    川田 弥一郎

講談社文庫

十二指腸潰瘍の手術後の患者が、長い廊下を病室に運ばれる途中、容体が急変、死亡。
麻酔にはクラーレ系筋弛緩剤マッスロンを使った。
そして自分で呼吸を開始したのを確認した後、解毒剤パラスチミンを打った。
遺族から医者のミスとして訴えが起こされた。
責任を問われた麻酔医の窪島は看護婦のちずると共に事件の捜査に乗り出す。
パラスチミンをうつ時期を誤ったのだろうか、何者かがマッスロンを再びうったのだろうか。
それともほかに・・・。そして捜査には大学の医局間の争いが影を落とした。
そして被害者手術中に飛び込んだ盲腸患者の事故死。
義弟と不倫の恋に落ちた被害者の妻が一看護婦と組んで起こした夫殺害事件であった。
同時にいずみを動かして、病院を買い取ろうとする関東医大系のおじのたくらみ・・・・。
著者が外科医であることから、当該分野での専門知識、医学界の実状についての話しがふんだんである。
話しも一つの事件で統一されており、すっきりしている。

・行彦はローンでマンションを購入しており、・・・生命保険に加入を認められていた。行彦が死んで、マンションは良美のものになっている。
・「患者のために」とは往々にして「自分たちのために」の言い換えにすぎないと思う。(190p)
・マッスロンの投入量をわずかずつ減らして取っておき、パラスチミン投入後、点滴装置の三方弁を操作捜査して投入(138p)
・さん瞳剤の点火と自動車事故(312p)

* マッスロン
* 点滴による殺人
* さん瞳剤殺人(アトロピン)
* ローン購入のマンションと生命保険