新潮文庫
この作家の作品はプロットで読ませる作品だと思う。それがうまくはまった時、読者は「そうだったのか」と納得するのである。
静かな訪問者
夫のつとめる会社の重要なポストにいる父が死んで、田崎絹子は、夫が最近少し冷たくなったように思っていた。夜夫から電話で「重要な客が行くから大切にするように・・・。」との指示。ところが訪ねてきた戸部は、学生時代の親しい知り合い。戸部は明け方出ていったが、翌日夫が自宅近くで撲殺死体となって発見された。戸部の告白「あなたの亭主は、ほかに女を作っている悪い男。私は、あなたを殺すように依頼された。しかし好きだったあなたを殺せない、彼にそれを伝えたところ争いとなり、殺してしまった。」
遅刻してきた幽霊
新入社員田代克彦が「この恨みは、死んでも必ず残る。」との過激な遺書を残して死んだ。そして時折現れる田代の幽霊。上司で女性に手が早い大崎部長は何か悩んでいる様子だったが、屋上から飛び降り自殺した。実は大崎は古参OLの神田に手を出して、捨てた。これを恨んだ神田は、田代が大崎の隠し子であることを突き止め、同社に入社させ、しくじらせた。自分の子と気付かなかった大崎は強くしかった。その結果、田代は自殺しさた。さらにそれを匿名電話で知らされた大崎が悲観して自殺したものだった。幽霊はこれに気付いた演劇をやっているOLの芝居。
本物の朝
寺田秀一は、明日は有名企業の社長である由紀子の父に会う日、時間には遅れられない。愛人保代のアパートに泊まり込み「この女とも今日限り。」と思う。アパートは繁華街の真ん中にあり、夜でも明るい。保代に朝8時に起こしてくれるように頼み、床に入る。ところが気がつくと10時。起こしてくれと頼んだのに、と保代をなじると「逃げて行く男に協力などできる分けないでしょう。」、かっとなって殺してしまう。ところが外を見ると夜、彼は3時間ほど寝ただけだった。
幕間に死す
倉科は、明子と結婚する予定で、友達を呼んだ。 ところが仕事で遅れて帰ってみると、友達は来ているのに、明子はいない。
探してみると、自室で自殺していた。 20年後、余命3ヶ月となった倉科は、当時の関係者を呼んで当時の状況を再現してみる。
実は明子が若い時に関係した中島が、再びよりを戻そうとしていた。 金に困っていた安西は、そのことを発見し、明子に金を貸せと迫っていた・・・・・。
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