碇泊なき海図
碇泊なき海図 今井 泉
文芸春秋 ハードカバー
四国屋島駅、初老の男は、4人組に禁煙車両でたばこを吸ったことを注意した。
リーダー格らしい男が「まだ、なぐられたいんか。」と正面から足を踏み出すと、男は「吉峰洋一、名前に間違えないでしょうね。」と確認した後、内懐から拳銃を取り出し「闇夜に星の降るごとく。」と低く唱えて発射した。
腹部を撃たれて即死、男はいずこともなく立ち去った。
同じような手口で、神戸で暴力バー店主が撃たれた。
小樽でスーパー店主が撃たれた。
この事件を高松港署の古溝、門田両刑事が追う。
やがて、男の唱える言葉、腹をねらっていること等から銃習熟者の犯行と断定。
拳銃の使い方を教えた男の話等から元一等航海士坂本の名が浮かぶ。
おとなしい坂本は、大学卒業後、国鉄の連絡船に職をえた。
文章教室で知り合った女性と恋におちた。初めての恋だった。
ところがデートの帰り、ふと離れた隙に女性が消えてしまった。
それから坂元は女性を追って「たちんぼさん」と呼ばれるまで待った。
ここのプロットはアイリッシュの「喪服のランデブー」を思わせる。
やがて青函連絡船がなくなって坂元は、船員の手配をするマンニングという小さな会社に勤めた。
坂本は、調べ続けた。恋人は、遮光プレートつけた車にはねられ連れ去られたらしい。
殺され海に捨てられたらしい。
連れ去った仲間はゴルフ帰り、プレイ名簿から名前が割り出される。
坂本は韓国で銃を買い、復讐を誓う。
4人目は、下関北九州銀行の梅原が目標。
下関に到着した坂本は、港の警戒網を一等航海士の顔を使って簡単に突破。
警察のマークの中、戸畑支店発砲事件という陽動作戦を使って、梅原を見事に連れ出す。
そして和布刈公園展望台。
梅原を追いつめた坂本は・・・・。
・本当に相手を殺したければ・・・・腹が一番だ。時間はかかっても相手は内蔵をやられて確実に死ぬことになる。(50p)
・腕をまっすぐに伸ばして、左手で右の手首を固定する。銃身に沿わした親指で銃口と一緒に相手の腹を指す。闇夜に星の降る如く、そっと引き金を引く。どんな素人でも腹なら、二十メートル以内で命中する。(50p)
・狭い海峡などで、海流の方向と逆の風が吹いた場合、流れをせき止めたような形になり、両端の海に水位の差が生じます。・・・・津軽海峡がよく引き合いに出されていますね。(185p)