双葉文庫
二部仕立てで後半は犯人の告白といった趣。
読みながらふと後半の告白を書いてから、全体を書く方法もあると思った。
犯罪は何よりも最初に犯人がこうしたいと思うところから出発するのだから。
バーのマダムの所に行った徳持刑事が遅くなっても帰ってこない。
翌日午後、彼は富士見ホテルで死体となって発見された。
彼は逃走中の暴力団幹部関口と昵懇だったと言う噂があった。
やがて関口が逮捕される。
菅井部長は彼をリンチしてまで白状させようとするが彼は口を割らない。
しかも関口は、部下の千葉というチンピラが差し入れたコカコーラを飲んで即死する。
コーラの中の毒物はスコポラミンで、少し前、男に捨てられた看護婦が服毒自殺した事件があったが、その時の毒物と同じだった。
そのとき、スコポラミンは証拠品として押収されたが、返却されていなかった。
やがて千葉の死体が発見される。
俄然、捜査陣の内部犯行説が、強くなった。
安田刑事は、富士見ホテル従業員の面接に立ち会わなかった事などから、菅井部長を疑い始め、彼のアリバイを追う。
2部は菅井部長の独白。
彼は強盗犯の妻と関係したが、それを関口に知られ強請られ、便宜を図った。
しかしそれに気づいた徳持刑事を殺してしまった。
そこで関口を仲間に引き入れようとするが、あっさり捕まってしまう。
そこで、千葉を使って殺させ、千葉も処分させたが、毒物から足がついた。
最後に、女と十和田に旅立とうと上野駅に来たところを逮捕される。
・立身出世にのみ汲々としながら威張り腐っている検事がいる、犯罪者の通諜係のようなまねをして恥じない悪徳弁護士がいる、言論の公器を口実に、捜査を妨害してまでも特ダネをあさる新聞記者がいる、その新聞記者のご機嫌とりにのみ熱心な警察幹部がいる・・・・・。
(70p)
・被告人の黙秘権、供述拒否権まで認められている(130p)
・スコポラミン・・・致死量0.005ないし0.01グラムという劇薬である。水溶性の白い粉末で麻酔、鎮痙、散腫、血管収縮などの作用があり、心臓病や悪阻、モルヒネ中毒などの鎮吐剤として、・・・・・広く用いられている。・・・・利用者は医療関係に限られる。
(172p)