光文社文庫
雪達磨
とけた雪達磨のなかから出てきた南京玉を買い集めていた男の死体。実は南京玉は偽金作りの原料と成るものだった。一味4人が金の貸し借りで争ううち、一人が頓死したが、死体の処置に困り、雪達磨の中にいれたもの。
熊の死骸 略
あま酒売り 略
張子の虎
品川遊郭伊勢屋のお駒はお尋ね者の松蔵の逃げるところに二階から草履を投げつけてご用にさせた女中。ところが客の吉助と寝たところ、絞め殺されており、側には張り子の虎の人形。実は仲が良いように見えた女中のお定は松蔵の妻で、一種の敵討ちだった。
海坊主
品川の潮干狩りの場にあらわれた半裸体の坊主頭の男は「嵐が来る、津波が来る」と予言、これが見事にあたる。この男、魚をねだり生のままばりばり。半七がそれとなくあたると周囲に海賊の一味。実は男は元漁師で、泳ぎながら舟をヒッチハイクして遠島になっていた島をぬけ、海賊の元に転がり込んだものだった。
旅絵師
吹上御所のはお庭番は隠密役を兼ね、大名の代替わりの時はかならず出かける。旅絵師姿の間宮鉄次郎は房川(利根川)の渡しで舟から落ちた娘を救った事から、ある城下町の千倉屋に私淑。ある時、主人から内密に絵の模写を頼まれるが、なんとマリア像。模写を終えて感謝もされるが、突如賊が押し入り、娘が殺され、鉄次郎は江戸に戻る事に・・・。
雷獣と蛇 略
半七先生
お直は手習いの師匠の元で恋文らしき物を落としてひどく叱られた。お力という娘と一緒に帰ったが、途中で神隠しにあったように消えてしまった。実はお力とお直はそれぞれの姉と兄の恋文の受け渡しをやっていたのだが、それが見つかりそうになり、逆上した女の方が人に頼んでお直を隠したものだった。
冬の金魚
惣八は頼まれて俳諧師其月経由で去る客にに冬の金魚を売り込んだが死んでしまった。ところがある日其月と女中お葉の死体。其月はお葉と関係していたが、サデイストでやきもちやき。実は男好きのお葉が金魚が縁で昔の恋人元吉にであった。お葉は其月を殺して逃げ出そうとしたが・・・・。
松茸
熊谷豪農の娘お元はお鉄という女中をつけてもらって加賀屋に輿入れしたが、お元は顔色が悪く、お鉄は不明の男と会っている様子。実は同郷の怠け者安吉は松茸を将軍様に運ぶ役をしていたが逐電、江戸に出て、お元が丙午生まれである事を種にゆすりをはじめた。
人形使い
人形使いの若竹紋作と吉田冠蔵は中がよかったが、紋作は優曇華浮木亀山公演中、自分の役の兵助人形と水右衛門人形がきり会っているところを夢うつつのうち見かけ水右衛門人形に傷を付ける。以後二人は仲が悪くなり、兄弟子紋七の仲裁にもかかわらず、ある時二つ死体となってしまう。
少年少女の死
継母根性から水出しに毒を塗ったものを用意したが、いざとなるとできない。処分に困って女中に渡したところ、それが人から人に伝わって子どもが二人と嫁さんが一人死ぬ事に。
異人の首
「われわれは攘夷である。これをかたに金を貸せ」と異人の首をさしだす押借屋。半七が開港当時の横浜まで行って調査したところ、遊び好きの異人とワル二人が浮かぶ。異人の首は蝋人形を切ったもの。当時の横浜の描写がさえている。
一つ目小僧
野島屋の店先に表れた武家らしい男がめずらしい鶉を買うと1両の手付けを置く。夜になって指定された千駄ヶ谷の屋敷に持っていくと、待たされた部屋に掛け軸をいじくりまわす一つ目小僧の出現。因果を含められて鶉を持ち帰ると安物に変わっていた。按摩と武家崩れが、空き屋敷を使って仕組んだ詐欺事件。