半七捕物帳(4)       岡本 綺堂


光文社文庫

仮面(めん)・・・・欲に目のくらんだ道具屋の失敗
古い仮面を能役者らしい若い男に売りつけ手付けをもらったところ、侍がこの面を是非欲しいと所望、高額を申し出る。道具屋は能役者に身銭を払って解約してもらうが、約束した侍は現れない・・・・。

柳原堤の女
柳原堤におかしな女が現れると言うので三人が出かけていくが、なぜか大工の勝次郎は腰が引け気味。その勝次郎が姿を消した。実はある病気持ちの豪農一家の娘が勝次郎に恋をした。娘の望みを押さえられず、勝次郎を誘拐したが・・・・。

むらさき鯉
藤吉は取ってはいけない御留川の鯉を取ったが、その夜鯉の精らしき女が現れ、その鯉を持ち去ってしまう。そして江戸川に藤吉の水死体・・・。

三つの声・・・・典型的なアリバイ崩し
鋳掛け屋庄五郎が美人の女房お国をおいて従弟の平七、親友の藤次郎と川崎厄除け大師にいくと出かけたが、しばらくして待ち合わせ場所にいないと、藤次郎の「おかみさん、おかみさん」と呼ぶ声。庄五郎は芝浦沖で水死体となって見つかる。最初は平七が捕まるが、半七は「おかみさんを呼んだのはおかしい。庄五郎を呼ぶはずだ。」と藤次郎を逮捕。実はお国に横恋慕した藤次郎が庄五郎を海に突き落としたもの。
・私どもの調べでも、ぽつりぽつりと静かに調べて行くのは禁物です。・・・はじめは静かに調べていて、さあと言う急所になってきたら、一気にべらべらとまくし掛けて、相手にちっとも息をつかせないようにしなければいけません。(116p)

十五夜御用心・・・・モルヒネの効用
若い女に道を尋ねられた元八がその女をつけてゆくと虚無僧二人にぽかりと殴られ、気を失う。翌日、近くの寺の古井戸から住職と納所、それに件の二人の虚無僧の死体が上がる。悪党一味の恋の縺れから、女がモルヒネで男を眠らせ、次々に井戸にほうりこんだ。

金の蝋燭
両国橋から身を投げた若い女が、馬鹿に重たい蝋燭を5本持っていた。調べると中に金。最近のご金蔵破り事件に関係かと思われたが、実は5年前、金入りの蝋燭を江戸の役人に贈ろうとした男から奪ったもので、女が飛込んだのは仲間割れから。

ズウフラ怪談
夜陰にひびく怪しげなズウフラ(楽器の名)の音。確かめてやろうと、出かけた剣術道場主橋本左内が死体で見つかった。実は左内の若い妻をとろうとした男と道場乗っ取りを画した男の共犯。

大阪屋花蝶・・・・身代わり自殺
浅草ですりにあったところを助けてもらった縁で、鍋久の若い当主久兵衛は貧乏浪人の娘お節を嫁にもらうが、金蔵の金がなくなる事2度に及んだ後、お節は発狂、当主を殺して、品川から海に飛込んでしまった。実は窃盗はお節のほれた店の新二郎、飛込んだのは悪で名が知れた大阪屋お蝶。完全犯罪に見られたが、お蝶が別件で捕らえられ、牢内でおかしな行動を取ったため、足がつく。

正雪の絵馬・・・・・偽装自殺
油屋多左衛門は大宮八幡宮にある由比正雪の絵馬を手に入れたが、実は偽物を作って本物と架け替えてきたのだという。ところがそれが発覚すれば獄門とお城坊主の万次郎に、強請られ、大弱り。半七に頼み込んだ後、逐電し、やがて首吊り死体で見つかる。実は多左衛門が絵馬の獲得を大津屋重兵衛に頼んだのだが、彼は狐芳という女流画家に模写させ、それを渡した。これに各人の色と欲が絡んで・・・・。
・洗濯物として干してある風呂敷の紋から足(297p)

大森の鶏・・・・二つの事件を絡ませて・・・
半七は川崎大師の帰り道、妙に艶っぽい女性お六に会うが、大森の小料理屋で鶏が彼女に猛然と襲い掛かるところを目撃し、怪しむ。鈴が森の刑場そばで若い侍の死骸が見つかった。実は旗本塚田弥之助の奥方お千恵さんが文次郎と出来、中間の勇二に導かれて、鮫州の金造の家に向かう。しかし男二人は文次郎を鈴が森で切ってしまう。二人はお千恵さん女郎場に売ろうといったん鮫州に連れ込むが、金造がお千恵さんを強姦、しかし隙を見て、お千代さんが金造を刺し殺した。勇二の妻がお六でやっと二つの話しがドッキングする。

妖狐伝
この事件の起こった安政六年(一八五九)は、前年日米修好通商条約が結ばれ、、五月に神奈川、長崎、函館三港を開くなどしてようやく、外国人が日本の社会に意識され始めた頃。話は鈴が森にでた幽霊実はお此という女性のいたずらなのだが、それが軸となって進んで行く。伊之助にほれたお此が、彼の恋人お糸をジョージにあっせん、その依頼で偽金を使うなどと言う話が面白い。