ヒマワリはなぜ東を向くか  瀧本敦

中公新書

人間の胎児はある大きさになると、母体から外へ出て赤ちゃんが誕生するのに、植物の胎児は、一たん発育をやめて種子となり、その種子が発芽したときに新しい植物が誕生するか。なぜ誕生する前に発育をやめて種子を作るのか。

それでは種子はどのくらい生きつづけるのか。大賀ハスのように2000年も行き続ける例もあるが、条件が会わなければすぐに死んでしまうものもある。

多くの人が種子は土にまくとすぐに発芽すると思っている。しかし野草の種を持ってきて植えても発芽せず、混じっていた雑草ばかりが発芽する・・・なぜか。実は冬の寒い時期を経ないと発芽しないような仕組みになっていたりする。

この書はタイトルの疑問を含め、植物に関する多くの疑問を提起しながら、読者に考えさせる、というスタイルをとっている。提起される疑問は必ずしも答えが見つかっているものばかりではない。従って最後は「簡単には解き明かすことはできないものばかりである。この話はこの辺でやめておこう。」などとなっている例もある。その辺が黒白をはっきりさせないと気が落ち着かぬ私などを含めた読者一般には難しいところかも知れぬ。

しかし逆に言えばそこにこの書の正直な読者を欺かぬよさがある、といえるのだろう。しばらくは考えながらあせらずに読みすすむとしよう。

「ヒマワリはなぜ東を向くか。」こんな問題も分かっているようで分かっていない。直立している若いヒマワリに斜め上から光を当てると片方の葉は多量の光を受けるが反対側は少量しか受けない。多量の光を受ける葉は多量の成長促進ホルモン(オーキシン)を作り、これが主軸のその葉がついている側に送られるため、そちらがよく伸び、結果として太陽の方向に曲がる。これは若いヒマワリに当てはまるあざやかな説明である。

しかしある日の正午に野外においたヒマワリを180度回転させると、しばらく朝は西を向き、夕方には東を向いた。なぜか。しかも若いヒマワリの首ふりは成長するとなくなった。なぜか。花が東から西に触れたことは分かったが、翌日はまた東に戻っていた。なぜか。そもそもなぜヒマワリの花だけが東に向くのか。他の植物はこの運動をしないのか。

同じ様な疑問「アサガオの花はなぜ朝開く」初夏のアサガオは大体夜明けとともに開花するが、季節がすすむにつれて開花時期は早くなり、秋になると夜中に開いてしまう。研究の結果どうやら日没後約10時間目に開くものだと分かった。アサガオは自身の中に時計機能を持っているのである!(生体時計)しかし注意してみると同じ季節であっても、朝の気温が低い日ほど早く咲くことに気がつく。統計的に見ると1度で15分も早く咲く事が分かった。光と温度は開花時期にどう関連するのだろうか。

こんな風に考えてくると植物に関する疑問はますます膨らむ。他にも

「なぜマツが枯れるのか。」「なぜ(植物に)「がん」ができるのか」「なぜマツタケは栽培できないのか。」これらの疑問に分か範囲で説明がほどこされている。