新潮社ハードカバー
大層なタイトルがついているけれど、未発表作品集でエッセイ集。彼は1914年生まれ、56年に「楢山節考」でデビュー、「笛吹き川」「風流夢譚」などを著し、1965年に埼玉県にラブミー牧場を開き、念願の百姓生活に入った。この後では「人間滅亡的人生案内」が当時の若者の心を捉えたという。87年没というから、長い間農業を経営し、70くらいになってから書いた作品か。
・人間、死ななかったらとんでもないことになる。必ず死ぬ事が分かっているから生きていられる。永久に死ななかったら大変。年をとるから若い時代が楽しいし、死ぬことは本当にありがたいことだ。(11p)
・仏教なんてインチキだね。お釈迦様のおもやを、仏教が乗っ取り、弟子がでっちあげたものだ。お釈迦様は、病気が治ったり、ゼニがもうかったり・・・・なんぞは言わなかった。「世の中のなすがまま、なりゆくまま、つねに動いてる」と言っただけ。それをお経をとなえれば治るとかもうかるとか言った。地獄極楽は日本人が作ったものだ。中国にもインドにもない。お寺は仏教を商売にしている。死ねば戒名をつけ、名を変えるというのはおかしい。そんなことで金をとるのがおかしい。仏教は八百長だ.(14p)
・思想ってのは悪いものだよ。何かを思わせるのは悪いことで何もない事がよいことだからね。(21p)
・戦争でエネルギーを使うくらいなら、セックスで消耗する方がよっぽど気がきいているよ。(カバー)
・肩書きがあれば、信用が高くなるという人もいるけれど、それは名刺を受け取る相手も悪いんだね。日本人ってのは権威にウンと弱いからね。日本民族って言うのは、そういうところがオレはイヤだよ。(72p)
・そのときに快川和尚と言う人がいて、「心頭滅却すれば火もまた涼し」といって焼け死ぬ噺があるけれど・・・・他の坊さんにとっちゃあ、いい迷惑だったと思うね.(91p)
・スポーツの選手っていうのは、おだてられて、自分の身体に無理に無理して、自分の体力の限界以上のことをやっている。ひとつの犠牲者だと思うね。(117p)
・(三島由紀夫の死)オレが奥さんの立場だったらお葬式にだってツバひっかけるよ。あのオカミサンの立場をみてごらん。こんな侮辱された話はないよ。オカミサンも子どもも後に残されるでしょ。ゼニを残したからいいってもんじゃない。(133p)
・質屋にいった事がないなんて人は、ダメ、アルバイトやらない人はダメ、一日働いていくらってことを知ったら、三島由紀夫、ハラ切らないよ.(135p)
・男だってどんどん泣いた方がいい。泣くのは機械に油をくれるのと同じことだ。油はくれればくれるほどオレはいいと思う.(159p)
・男は自分個人のためになく。女の涙は相手に与えられたことでなく。相手が自分に与えたことで。男はそうじゃなく、うれしいにつけ、悲しいにつけ、自分のために泣く。ああ、オレはバカだったな!(164p)
・忘れるっていうことは、人間に大切なことですよ。・・・・とにかく嫌なことは忘れて、楽しい瞬間をなるべく多く作ることだね・(174p)
・人生とは、何をしに生まれてきたのかなんてわからなくていい。(176p)
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こういった言葉にコメントを書こうと思えばいくらでも書ける。しかし書かない、その文面をもう一度読み直して、自分なりに考えればそれでいい。
051012